松坂大輔、破格の“安売りセール”

 

ソフトバンクを退団した松坂大輔(37)が、破格の条件で阪神、中日らNPBの複数球団に移籍打診を行っていることが15日、球界関係者の話で明らかになった。

再起にかける松坂の思いが伝わってくる。

 

松坂サイドが阪神、中日らに売り込んでいる条件は、基本年俸2000万円強という“超安売りセール”。

レッドソックスでの全盛期には1000万ドル(当時約12億円)を超える年俸を手にしていた松坂にとって約50分の1の金額になるが、銭金の問題ではなく、一人の野球人として、最後のチャンスにかけるという壮絶な決意が伝わってくる逆オファーだ。

もちろん、結果を残せば、松坂のプライドを傷つけないようなインセンティブ(出来高)はついているようだが、超ビッグネームの松坂が、約2000万円強で獲得できるのならば、球団にリスクはなく、その人気面も含めて復活の可能性に賭ける魅力は十分にある。

松坂は、2014年オフにメッツでFAとなり8年ぶりの日本凱旋を決断。

ソフトバンク、横浜DeNA、中日ら複数球団の争奪戦となったが、ソフトバンクが3年約12億円と言われる巨額契約で射止めた。

だが、1年目から右肩を痛め8月に手術、1試合も1軍で投げることなく、2年目の昨季も最終戦の楽天戦に1イニング登板しただけ。

しかも、被安打3,与四死球4,暴投1の5失点(自責点2)と滅多打ちにされた。

それでもオフに自ら志願してプエルトリコのウインターリーグに参戦、フルに4試合に先発して契約ラストシーズンとなる今季にかけた。

剛球のイメージからツーシームを軸にしたボールを動かすピッチングスタイルへ転身。

オープン戦では対広島戦で7回を無安打無失点に抑えるなど、4試合に投げ結果を残し、4月中旬のオリックス戦での先発復帰も内定していたが、再び右肩に異常が発生、今季のほとんどをリハビリに費やした。

シーズンオフには、ソフトバンクの球団サイドから支配下登録を外れ、リハビリコーチ兼任で復活を目指せばどうか?という残留オファーを受けたが拒否。

あくまでも現役一本にこだわり退団、他球団のオファーを待った。しかし、ここまで積極的なアプローチはなかった。

3年ものブランクがあり、故障の回復度合いが不透明な現状に加えて、37歳という年齢、しかも高額な年俸がネックになっていた。

だが、現役続行にこだわる松坂サイドは、そのネックになっていたハードルのひとつを自ら取り下げた。

それでも、NPBでは育成契約ではなく、支配下登録されての移籍に、こだわっていると見られる。



表現は下品だが、あの松坂が“超安売りセール”となるならば、各球団のスタンスも当然、変わってくる。

 

広島や横浜DeNAの大躍進を受けて巨人を始め、球界のトレンドは、生え抜きの若手育成の方向に向かっているが、松坂の話題性、観客動員力、そして、その日米にまたがる経験とカリスマ性がチームの若手に与える影響力を考えると獲得検討の可能性が出てくる。

阪神は松坂サイドからの“売り込み”を受けて金本監督を交えて真剣に検討した模様だ。

野手に関しては、金本監督が、「若手を競争させて育てたい」という方針を強く打ち出していて、外部からベテランを補強する余地はないが、故障のリスクがあり、消耗の激しい投手陣の補強については別。

 

阪神だけでなく、どの球団の編成も、「投手はいくらいても困らない」という認識をもっていて、松坂が、もし復活を果たしてローテーを埋めることにでもなれば儲けものだ。

その話題性、カリスマ性を加味すれば、たとえ失敗しても2000万円の投資ならばリスクはない。

結局、阪神は時間をかけて球団内部で熟慮した上で最終的には獲得を断念したようだが、まだ中日を含めた数球団は、結論を出していない。

中日には西武時代から松坂の兄貴分として親交の深いデニー友利が編成部にいるため環境としては溶け込みやすい。

加えて外国人頼みだった先発陣には、小笠原慎之介(20)らの若手が出てきているが、今季2桁勝利を挙げた投手が一人もおらず、まだ整備されていない。

もし松坂が故障を完治して、全盛期とまでは言わないもののクオリティスタートを十分に守れるようなピッチング技術を見せることができれば、そこに入るこむ余地は十分にある。

また閑古鳥の鳴くナゴヤドームでは、話題性のある松坂が予告先発すれば、1試合投げるだけで簡単に元はとれるだろう。

松坂よりも年上の岩瀬仁紀(43)が今季カムバック賞を獲得するなど、故障に苦しんだベテランが復活した土壌もチームにはある。

“レジェント”山本昌は50歳まで投げた。

日米164勝の“生きた教材”の松坂がチームに加われば若手への新たな刺激にもなるだろう。
 

松坂サイドが動きを見せたことで膠着状態にあった“平成の怪物”の去就が急展開しそうだ。

 

 

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