桐生祥秀 破格の待遇で「就職」

 

今年2017年の日本陸上界で、飛び切りの朗報と言えば、東洋大の桐生祥秀(21)が日本人初の100m9秒台を叩きだしたことだろう。

日本人が「10秒の壁」を破ったのだ。

 

正確に記述すれば、9秒98の日本新記録。

大会は9月9日に開かれた陸上の日本学生対校選手権。

桐生は取材に

「最後のレースで、このタイムを出せてうれしい。笑顔でゴールし、周りが泣いてくれた。最高のレースだった」

と喜びを噛みしめた。

 

ところで、桐生のコメントにある「最後のレース」とは何だろうか。

12月15日に桐生は22歳の誕生日を迎える――と説明を加えれば、ピンと来た向きも少なくないだろう。

そう、桐生は大学4年生。来年18年には東洋大学を卒業するのだ。

つまり桐生の進路に関心が集まっている。

いや、既にスポーツジャーナリズムでは報道合戦が始まっている。

 

例えばスポーツ報知の記事「【世界陸上】桐生祥秀、卒業後も引き続き東洋大とJISS拠点」(17年8月13日・電子版)からポイントを列挙してみよう。

・卒業後も東洋大とJISS(国立スポーツ科学センター)に拠点を置く見通し

・進路は現時点で未定だが、選択肢は実業団かプロ選手の2つ

・セイコーホールディングス所属の山県亮太(25)は慶大、プロに転向してナイキと契約したケンブリッジ飛鳥(24)は日大と、それぞれ母校を拠点に選手を続けている

 

“五輪の顔”として破格の待遇

これに対し、サンケイスポーツは「桐生、卒業後はプロ転向せずアマで!東京五輪へ進路決めた/陸上」(同年9月11日・電子版)の記事をぶつける。

 

・東洋大学法学部教授で桐生のコーチを務める土江寛裕氏は、プロ契約選手ではなく企業に所属するアマチュア選手として活動する方針を示した

・「プロでなく、会社に入る形で考えている。複数の社と話を進めている。陸上部のある企業も、(陸上部を)持たないところもある」(土江コーチ)

・「競技を終えた後も働き続けられる可能性のある企業を探している」(同)

 

この土江コーチの発言は、関係者を驚かせたという。

何しろ就活に励む暇もなく、文字通り練習漬けの日々。

自己PRや志望動機を練る時間などあるはずもなく、プロ転向を確実視する予測も根強かったのだ。

 

だが、さすが「日本最速の男」だ。卒業後の進路も、あっという間に決めていた。

さる大手人気企業に“就職”するというのだ。陸連関係者が明かす。

 

「大手保険会社の日本生命と所属契約を結びます。同社の実業団は野球部と女子卓球部しかありません。指導者どころか、トレーニング施設さえ皆無です。しかも桐生は会社の実務には一切、携わりません。これまで通り東洋大の施設でトレーニングを続けます。

いわゆる社会人選手とは異なる破格の待遇ですが、“五輪の顔”たる桐生を迎え入れるだけでPR効果は抜群だと、日本生命は判断したわけです」

 

こうした方法による“入社”が、プロではなくアマだと見なされることに、若干の違和感を覚える向きもあろう。

だが、少なくとも陸上の世界では、これが最新流行のスタイルだという。

 

日本生命に取材を依頼すると、

「所属契約を結んだのは事実です。12月13日の水曜に記者会見を開きます。詳しくは、そこで質問して下さい」

との回答だった。

 

それにしても日本生命は、大手求人サイトのマイナビと日本経済新聞社が共同で調査した「2018年就職ランキング」文系総合ランキング部門で人気13位、生損保部門では3位という数字を誇る。

 

専属契約でも、“鈍足”な一般学生からすれば、羨ましい限りだろう。

12月14日(木)発売の「週刊新潮」では、一流企業に“就職”する桐生祥秀の「メリット」と「デメリット」など、更に詳報を行う。

 

是非最適な環境で競技に集中させてあげてください。

 

 



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