デーモン閣下が語る相撲界の危機

 

横綱・日馬富士関が貴ノ岩関に暴行したとされる問題で、日馬富士は11月29日、引退を表明しました。

相撲界では、過去にも「けいこ」と称した暴行で新弟子が死亡しています。

切っても切れない相撲と暴力の関係。

相撲界に詳しいアーティストでデーモン閣下は「相撲協会自体の屋台骨が崩れていく」と危機感をあらわにしました。

前代未聞の引退表明の日、取材に応じた閣下が強調したのが「情報共有」の大切さでした。(朝日新聞社会部記者・阿部健祐)

 

日馬富士「指導だった」

11月29日早朝から駆け巡った「日馬富士、引退へ」の一報。

鳥取県警や日本相撲協会の調査が終わらない中、突然の引退表明になりました。

日馬富士関は師匠の伊勢ケ浜親方と太宰府市の太宰府天満宮で会見し、暴行理由については

「先輩横綱として、礼儀と礼節がなっていないと思って、治すのが先輩の義務だと思っています。しかったことが、かれを傷つけ、そして世間を騒がし、ファン、協会、後援会のみなさまに大変迷惑をかけることになった」

と釈明しました。

行き過ぎた暴行は「指導だった」という思いをにじませていました。

 

「だめな暴力と必要な暴力の線引きができていない」

東京都内で取材に応じたデーモン閣下は、今回の暴行問題について、「横綱の品格問題」というより「指導のためなら暴力はしょうがないという態度が根底にある」と話します。

表向きには暴力を否定しながらも、

「(角界では)愛情をこめたしつけや体罰には、ある程度はしょうがないということにずっとなっていた」

「知っている相撲関係の人でも、『表向きにはそう言ってるけどね、手を出さないでそんな指導できるわけないんだよ』と言っていたりする」

と明らかにしたデーモン閣下。

問題の暴行は10月25日夜から26日深夜にかけて、鳥取市内のラウンジで起こりました。

暴行現場には、日馬富士や貴ノ岩のほかにも、横綱白鵬、横綱鶴竜や元大関照ノ富士らが同席していたとされます。



「今回の件を考えてみると、どこまでが良くて、どこから先がいけないという線引きが、本人たちもできていない。本当に変わらなきゃいけないと思わせる事件だった」

と閣下は感じたといいます。

 

2007年の暴行死問題でも、角界は変われなかった。

その上で閣下が思い返したのは、2007年に起こった時津風部屋の暴行死事件。

入門間もなかった斉藤俊さん=しこ名・時太山=(当時17)は2007年6月に愛知県犬山市の宿舎で、けいこ後に急死しました。

当時の時津風親方や兄弟子がぶつかりげいこ名目で金属バットで殴るなどしたのが原因でした。

これも「かわいがり」と称される「けいこ」でした。

デーモン閣下は当時を振り返って、

「知り合いの元力士たちは、『そんなことを言って、稽古場でなにやってんだとかひっぱたくとか当たり前のこと』と言っている人が何人もいた」

「あそこの部屋ではこういうことで起きたけど、自分の部屋ではそこまでなっていない。自分のところとは関係ないという風潮があった」

と指摘します。

 

自分のとこさえ良ければいい、そんな時代は終わった

最後にデーモン閣下が熱く提言したのは、「暴力なしでの育成方法の確立」でした。

「公益財団法人として、どうやったら全ての部屋が体罰や暴力なしで後進の育成をしていくかのメソッドを確立して、みんなで情報共有をしていかないといけない」

「今までの相撲の歴史でいうと、各部屋、各部屋、あるいは一門、一門の単位で、他の所とあんまり関わらない。自分の所さえ良ければいいんだという風にきちゃっているけど、そういう時代が終わったんだよ」

「みんなにとって有益な情報は提供しあってやっていかないと、相撲協会自体の屋台骨が崩れていくということをみんなが認識する必要がある」

「(10月28日に力士に講話をした)八角理事長はそういうことが言いたいのかもしれないが、もし伝わっていないのならば、もっと伝えていく努力をしなければいいけない。相撲協会の内部でできないなら、外部の識者が指導していくしかない。それができないんだったら」

閣下の発言は、相撲界への危機感にあふれたものでした。

 

 

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