墜ちた名門「神戸製鋼」のあきれかえる言い訳

 

長期にわたって品質データを改ざんし、ずさんな製造実態が明らかになった神戸製鋼。

創立100年超の名門企業が、存亡の機に立たされている。

 

500社超へ出荷した自社製品の品質データを改ざん、そのまま出荷していた神戸製鋼。

顧客が要求した仕様どおりに作らなかっただけでなく、運輸やインフラなど国民の安全にも直結する必要な製品に採用されていた。

「メイド・イン・ジャパンの評価を根底から崩すもの」として、海外メディアも一斉に報道したほどだ。

 

「各事業部門の収益がどうかだけを見ていて、品質管理など工場の生産活動に関する諸問題を把握できていなかった」

神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長は11月10日、再発防止策に関する報告書を公表する記者会見の場で、品質データ改ざんの原因についてこう述べた。

 

端的に言えば、経営陣が重視したのは「儲けているか」だけ。

それ以外は軽視していたということだ。

まさにガバナンスの欠如を裏付ける発言であり、その姿勢には首をかしげざるをえない。

 

『週刊東洋経済』は11月27日発売号で「沈む神戸製鋼」を特集。墜ちた名門の険しい前途を展望した。

その中で詳しく取り上げたことが、神鋼が過去にも繰り返した不祥事だ。

 

1999年には総会屋への利益供与が発覚。

2006年には工場から排出する煤煙データの改ざんが明るみになるなど、まさに不正のオンパレードだ。

2009年の政治資金規正法違反は、兵庫県加古川市と同高砂市、下関市の市議会議員選挙や県議会選挙で違法な寄付をしたことが、トップの辞任劇に発展した。

実は昨年にもグループ会社において、ばね用ステンレス鋼線の試験値を改ざんしていたことが明らかになり、JIS(日本工業規格)認証を取り消されている。

神鋼は問題が起こるたびに謝罪しているが、昨年に続く今回の不祥事。根本的な企業体質は、まったく変わっていないといわざるをえない。

 

「中小企業がそのまま大きくなった会社が神鋼だ。組織や社内規定、業務の進め方がまったく近代化されていない」


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神鋼をよく知る大手商社OBはそう話す。

「本流といえる鉄鋼事業、亜流のアルミ銅や機械事業などがまったく別の会社のようだった。部門間の確執も深く、収益を上げるために事業部門ごとに無理をしてきた結果だろう」

かつて神鋼と取引があった大手商社マンは品質データ改ざんの原因を分析する。

 

自主廃業に追い込まれた山一証券に重ねる

神鋼に詳しいメガバンクOBは、神鋼の姿を自主廃業に追い込まれた山一証券に重ねる。

山一は顧客への運用利回り保証や損失補塡で生じた含み損を、簿外債務として子会社に移すことによって隠蔽を図り、経営破綻した。

 

「山一はバブル時代の成功体験もあって、数字さえ上がれば何をやっても許されるという収益至上主義に走った。不正が多く行われていた神鋼のアルミ・銅事業も近年は業績が上向いており、経営陣の方針もあって、収益を最優先する意識が現場にも働いたのではないか」(メガバンクOB)。

 

公表した再発防止策には、

「品質はコストや納期に優先する」

「言いたいことが言える活気ある職場風土づくり」

「試験データの記録を自動化」

といった文言が並ぶ。

だがどれも「そんなことさえ取り組んでいなかったのか」という情けない内容ばかりだ。

 

今回の不祥事で川崎博也会長兼社長の引責辞任を求める声は多いが、トップの首をすげ替えるだけでは意味がないというのは、過去を見ても明らかだ。

企業体質を変えるためには、そうとうな荒療治が必要になる。第三者の弁護士3人で構成される外部調査委員会は、年内にも報告書を発表する予定だ。

それを契機に変われなければ、今度こそ本当に後がなくなる。

 

『週刊東洋経済』11月27日発売号の特集は「沈む神戸製鋼」です。

 

100年掛けてきたのに落ちるのはあっという間ですね。

 

 

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