加計獣医学部 「目玉施設での実習」にア然

 

「答案が全くできていないのに、何度も書き直させて無理やり合格させた印象だ」

 

共産党の小池晃書記局長が会見で憤りの声を上げたのも当然だ。

14日付で認可された学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設の申請書類はそれほど酷い内容だったからだ。

 

文科省の大学設置室が公表した岡山理科大獣医学部の申請書類には、大学設置審が審査過程でどんな点に「是正意見」や「面接審査意見」を付け、加計学園側がどう対応したのかが分かる。

 

例えば「小動物外科学実習」で〈避妊手術については1日で麻酔から縫合まで実施する計画だが、手術後のケアや経過観察、抜糸という重要な項目が抜けている〉

「獣医画像診断学実習」では〈座学が中心であり、実際に動物を使った内容が3日分しかなく、目標に到達できるような授業計画とは言えない〉

などの指摘があったほか、

〈大学から遠距離の学外施設への移動の上行う実習については午後から3時間以上の移動を要するものが含まれており、実習に充てる時間が十分に確保できるような計画とは思われない〉

などとケチョンケチョンだった。

 

政府が新たな獣医学部設置の条件とする「獣医師が新たに取り組むべき分野への対応」に沿うためにPRしていた「家畜越境感染症や人獣共通感染症に対応する公共獣医事」でも、

設置審は

〈牛の解剖がないため、公共獣医事分野の獣医として最低限必要な知識や技術を十分に身につけられるとは思われない〉

と指摘していた。

「世界に冠たる獣医学部」(加計孝太郎理事長)と言いながら、当初計画では必要最低限のカリキュラムも組まれていなかったのだ。

 

笑っちゃうのが市民団体から疑問の声が出ていた、狂犬病や結核菌などの病原体を扱う実験室「バイオセーフティーレベル3(BSL3)」の研究施設だ。

 

設置審が〈感染症等の関係法令において定められた基準に則した施設であるか〉とただしたのに対し、

加計学園側は

〈BSL3施設は経験の豊富な専門業者が建築する〉

〈バイオセーフティの安全管理手技を実践・修得することが目的である〉

と説明した上で、

〈人獣共通感染症学実習では動物は使わず(略)シミュレーション動物(縫いぐるみ)を用いる〉

と回答していたのだ。

繰り返すが、BSL施設は新たな獣医学部の“目玉”ではなかったのか。

手順を覚えるだけで生きた動物を扱わず、縫いぐるみで実習になるのか。

 

極め付きは、新たな獣医学部新設の要件とされている「石破4条件」を満たしていないことを加計学園自身も“認識”していた疑いだ。

 

同条件は〈近年の獣医師需要動向を考慮〉となっていて、加計学園は6月に全国の大学や四国域内など検査・検疫施設など4000余りの事業者を対象に需要アンケート調査を実施。

その中で

〈本学が目指す新しい『獣医学科』で学んだ獣医師を将来採用したいと思われますか〉

との設問があるのだが、

〈ぜひ採用したい〉との回答は3.7~7.8%で、

〈採用したくない〉が35.6~36.6%にも上ったのだ。

 

このアンケート結果で、なぜ将来の獣医師が足りない、となるのかサッパリ分からない。


【もしもアフィリエイト】ってなに?


野党は徹底追及するべきだ。

 

 

石破4条件とは?

石破茂氏が地方創生担当相だった2015年6月30日に閣議決定されたものなのでそう呼ばれているが、石破氏は、本人の名前がついていることを嫌っているようだ。

なにしろ加計学園問題が、安倍晋三政権への倒閣運動の様相を呈しているので、政治家がピリピリするのは仕方ない。

「石破4条件」は、獣医学部新設に関して、

(1)新たな分野のニーズがある

(2)既存の大学で対応できない

(3)教授陣・施設が充実している

(4)獣医師の需給バランスに悪影響を与えない

-という内容で、16年3月までに検討するとされている。

 

これが作られた経緯は、18日付産経新聞「加計学園 行政は歪められたのか(上)」に詳しい。

それによれば、15年9月9日、石破氏は、衆院議員会館の自室で日本獣医師政治連盟委員長の北村直人氏と、日本獣医師会会長の蔵内勇夫氏に対して、「学部の新設条件は大変苦慮しましたが、練りに練って、誰がどのような形でも現実的には参入は困難という文言にしました」と語ったという。

これが事実であれば、「石破4条件」は獣医師会の政界工作の成果だといえる。

その根本を探すと、文科省が獣医学部の申請を一切認めないとする同省の方針に行きつく。

これは、03年3月の「文科省告示」として書いてある。

いわゆる岩盤規制である。

これらの規制に基づき50年以上も獣医学部の新設がなかった。

 

そこで、国家戦略特区の課題として、内閣府と文科省の間で、文科省告示の適否が議論された。

交渉の結果として出てきたのが「石破4条件」だった。

この文言案は文科省から出されたようだ。

 

しかし、文科省はここで大失敗をした。

前述のように高いハードルを作るつもりで、学部新設をしたい者は条件をクリアして持ってこい、と考えた。

つまり、4条件の挙証責任は文科省にはないという立場だ。

実際、前川喜平・前文科事務次官ほか、文科省関係者はそう主張する。

 

これは誤りだ。文科省の学部新設の認可制度は、憲法で保証されている営業の自由や職業選択の自由を制限するので、挙証責任は所管官庁の文科省にあるのだ。

これは閣議決定された特区基本方針にも明記されている。

 

つまり、「石破4条件」で書かれていることは、文科省が学部新設の申請を門前払いする文科省告示の正当性を16年3月までに示さなければいけないということだ。

それが示せなければ、文科省告示を廃止または改正する必要が出る。

 

「石破4条件」を検討するためには、農水省などの協力も必要だ。

しかし農水省は早い段階から手を引いたらしい。

その結果、文科省は16年3月までに説明ができなくなってしまった。

これが真相だ。

 

 

 

-事件・事故, 国内, 話題
-, ,