ラスベガス乱射で「臆病者」と罵られたカントリー歌手の苦悩

2017/12/10

 

米西部ラスベガスで10月1日に発生した同国史上最悪の銃乱射事件で、標的となった会場のステージにいた有名カントリー歌手、ジェイソン・アルディーン(40)が一時、観客に避難を呼びかけることもなく一目散に逃げだしたとして「臆病者」と非難を浴びた。

 

ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上などに多くの擁護論が寄せられる中、負傷者を慰問するなどの活動を通じて新たなる一歩を踏み出している。

 

「彼は逃げた」

 

乱射の標的とされたのは、カントリーミュージックのイベント「ルート91 ハーベスト フェスティバル」。

 

「彼は逃げた。ステージ上から逃げたの」

 

米テレビFOXニュースのインタビューに観客の1人はこう話した。

同テレビによると、SNS上には

「言葉にもならない。ファンたちに『逃げろ』とも『伏せろ』とも言わず、臆病者のように逃げた」

「ファンたちに警告もせず、ステージ上から逃げ出したことに我慢がならない」

などと非難がつづられる。

 

こうした声に対し、共演者のジェイク・オーエンは

「スタッフの誰かから『ステージを降りて走れ』と言われるまで銃撃に気づかなかったのではないか」

とかばう。

 

というのも、演奏中のミュージシャンは、自分たちの演奏を聴く「イアピース」と呼ばれるものを着けることが多く、アルディーンは銃撃音に気づいていなかった可能性もあるからだ。

 

実は、バックステージには妊娠中の妻、ブリトニー・アルディーンさん(29)が待機していた。

こうした事情を知る人々からはアルディーン擁護の声があふれる。

 

「バックステージには奥さんもいたんだ。銃撃は彼のせいじゃない」

「私だってステージにいたら命がけで逃げる。彼の奥さんのおなかには赤ちゃんがいるんだ」…。

 

ベガス再訪

 

世界的注目を浴びることになった当のアルディーンはツアーを一時中止。

8日にはラスベガスの病院を訪れ、入院している負傷者を見舞った。

 

「彼の訪問は、あの悲劇で負傷した人々の心を癒やし、勇気づけた」

病院はフェイスブックにアルディーンの写真とともにメッセージを投稿して感謝の意を示して歓迎。

 

一方、妻のブリトニーは、現場となった「マンダレイ・ベイ・ホテル」前に夫とともに立つ写真と、「(今日会った)1人1人の力強さを見て、癒やしという歩みを始めることができた」とのコメントをインスタグラムに掲載した。

 

事件後に

「あの日の夜、俺たちは民主党でも共和党でもなく、白人でも黒人でも、男でも女でもなかった。みんな人間で、米国人だ。今こそ一つになって立ち上がるときだ」

と団結を訴えていたアルディーンだったが、この訪問は自らが再び立ち上がる契機となったようだ。

12日にはオクラホマ州タルサでツアーを再開させている。

 

れに先立つ7日には、米人気テレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」に出演し、2日に亡くなったばかりのロック歌手、トム・ペティ(1950~2017年)の

「I Won,t Back Down(私は逃げない)」

を披露し、犠牲者を追悼した。

 

それはあたかも自らの決意を表明するかのような、力強い演奏だった。

 

ラスベガス銃乱射事件

2017年10月1日夜、米ネバダ州ラスベガスで、男が宿泊していたホテルの32階から付近のカントリー音楽のコンサート会場に向けて銃を乱射し、観客ら58人が死亡、500人以上が負傷した。

1回の銃乱射事件としては、米国史上最悪の被害となった。

犯人のスティーブン・パドック容疑者(64)は自殺。犯行は連射装置をつけた半自動小銃によるもので、発射された銃弾は数百発にのぼった。

 

 

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