殺人罪で服役した女性が会見し無実訴える

 

14年前、滋賀県の病院で男性の入院患者の人工呼吸器を外して殺害したとして、当時勤務していた看護助手が逮捕されました。

12年の刑を終え、2017年8月に出所した元看護助手の女性は「私はやっていない」と冤罪を訴え、裁判のやり直しを求めています。

 

カメラの前でいまの思いを語ってくれました。

今年8月、和歌山刑務所から1人の女性が出所しました。滋賀県彦根市の元看護助手・西山美香さん(37)です。

入院患者の人工呼吸器を外して殺害したとして、懲役12年の刑に服し満期出所しました。

事件は2003年5月、東近江市の病院で未明の時間帯に起きました

。意識不明の状態だった男性患者(当時72)が病室のベッドの上で心肺停止の状態で見つかり、その後死亡したのです。

当初、警察は人工呼吸器が外れたことを知らせるアラーム音を聞き逃した、業務上過失致死の疑いで捜査を開始。

任意で取り調べで、西山さんや当直だった他の看護師2人は「アラームが鳴らなかった」と供述。

しかしその後、西山さんは「アラームは鳴っていた」と供述を変えました。

 

さらに事件から1年以上経った2004年の7月、今度は「自分が男性患者を殺した」と自白したため殺人事件の容疑者として逮捕されたのです。

事件当日、西山さんがどのようにして犯行におよんだかについて、取り調べで供述した内容によると…

普段から病院での処遇に不満を持っていた西山さんは、そのうっぷんを晴らすため男性患者の殺害を決意。

人工呼吸器のチューブを故意に外しました。

「男性は眉間にしわを寄せて苦しそうな顔をし、口をハグハグさせるような感じで動かしていた。私は仕方がない、これしかないんやと思った」(供述調書より)

そして、犯行を隠すため異常を知らせるアラーム音が鳴らないように、音を消すボタンを押しました。

「1分経過すれば、またアラームが鳴り出すことは知っていた。頭の中で1秒2秒と時間を数えた。そしてだいたい1分くらい経ったころに再び消音ボタンを押した。そうしたところ、アラームが鳴ることなく止まった状態が続いた」(供述調書より)

こうした自白は、「その場にいた者にしか語れない迫真性に富んでいる」として、裁判では懲役12年の判決が確定しました。

 

しかし、西山さんが獄中から両親にあてた手紙には…

「私は絶対■さんを殺ろしていません!」(西山受刑者からの手紙)

文中にはこんな記述もあります。

「私が●刑事を信用してしまったのもあかんし、好意を持ったこともあかん。それでみんなに辛い思いさしてしまって、ごめん」(西山受刑者からの手紙)

取り調べにあたった刑事に好意を持ち、その刑事に言われるがままにウソの自白をしてしまったというのです。

実は西山さんには、人の言うことについつい迎合してしまう傾向があると精神科医が診断しています。

西山さんの両親はそうしたこともあって、西山さんが殺害を認める供述をしたのではと考えています。



「私はしていないのに、なんでこんなに長いこと入らないといけないのか、どうしても納得できないと書いていた。それが一番かわいそうだと思うと…涙が出ますね」(西山美香さんの母 令子さん)

 

「本当にこんなことあるのかなと思って、残酷な。訳のわからないやつを逮捕して十何年ですよ」(父・輝男さん)

外の世界に出たのは、逮捕された日から数えると、実に13年と1か月ぶり。久しぶりに戻ったわが家で、再び両親と暮らし始めた西山さん。

 

あの日、警察からの取り調べで、どうして殺害を認める供述をしたのかについて聞いてみました。

Q.取り調べの刑事を信じた?

「好意を持ってしまった」

 

Q.それはどうして?

「やさしかった。何がやさしかったかというと、小さいときからコンプレックスがあって、兄2人が賢い、優秀だった。私は勉強できなかったので比べられていた。お兄ちゃんみたいに頑張ってやってみたらと、それが嫌だった。

それを刑事に言ったら『あなたもお兄ちゃん同様賢いところがあるから』すごい理解してくれる人みたいになって、そこでころっと。今から考えるとアホみたいなことだが、ころっといって好意を持つようになって、気に入っオフてもらおう気に入ってもらおうと思って、どんどんウソをついていった、事件のことでは。私が無理やり(人工呼吸器の)蛇腹を外して、殺してしまいました、と」(西山美香さん)

 

西山さんはいま再審請求、裁判のやり直しを求める訴えを起こしています。

弁護を担当するのは元裁判官の井戸謙一弁護士です。

「やはり自白がとても変転していて、それが真犯人の変転とは思えない。捜査側が集めた資料とつじつまが合うように、本人の自白が変っていってる」(井戸謙一弁護士)

そして井戸弁護士が新たな証拠として注目しているのが死亡した男性患者の血液中の「カリウム値」です。

司法解剖の結果では男性のカリウムの値が正常値よりもかなり低かったことがわかっています。

カリウム値が低いと病死するケースもあるのです。

これに対し、検察側は心肺停止状態から蘇生を試みた際に投与された薬の副作用によって、カリウム値が低下したなどと主張しています。

この死因をめぐる問題について、法医学の専門家は司法解剖の鑑定書を見たうえで、人間の死因を特定するのは難しいとしつつも、中立の立場からこう語ります。
Q.カリウム値について

「低い、かなり低いですね、2倍から3倍低い。低カリウム状態をずっと続ければ、低酸素(窒息状態)でなくても亡くなる可能性はある」(近畿大学医学部 巽信二教授)

「なんらかの犯罪行為があったわけでなく、自然死。特に犯罪的な行為がなく、この方が亡くなったのがこの事件の真相。警察・検察によってでっちあげられた」(井戸謙一弁護士)

20代から30代にかけての12年間を「受刑者」として過ごした西山さんは、これからの人生についてこう話します。

「外に出られたことが嬉しい反面、まだ冤罪が晴れていないので、早く晴れるように弁護士さんと一緒になってがんばろう思っている」(西山美香さん)

 

この青春期の12年間・・・是非取り戻してください。

 

 

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