【国民審査】あの人もいた・・「罷免したい裁判官とそうでない裁判官」

 

最高裁国民審査は、明日の衆院選の投開票と同じ日・同じ場所で、私たち有権者が投票する重要な制度です。

しかしみなさんは国民審査とはどのような制度なのかご存知でしょうか。

 

最高裁の裁判官は全部で15人います。その構成は、次の通りです。

15名のうち、前職が裁判官だった人の枠が6名、前職が弁護士だった人の枠が4名、そのほか官僚や検察官、学者出身の枠として5名、というのが最高裁判所裁判官の構成です。

裁判官としてキャリアを積み上げてきた人たちばかりではないのですね。

最高裁判所長官は内閣が指名し、天皇が任命。

そのほか14名の判事は最高裁判所長官が裁判官を人選し、その人を内閣が任命しています。

 

「国民審査」とは、その任命された最高裁の裁判官が職責にふさわしいか、有権者が投票で審査する制度です。

対象は前回の衆院選以降の新任者で、10年毎に再任審査を行います。

 

実際の投票方法は▼辞めさせたい裁判官がいれば指名の上に「×」を記載します。

▼何も記入しない場合は「信任」とみなされます。信任だからといって「○」を記入したりすると無効になります。

総務省の説明によると「投票用紙に「×」以外の事項を記載した投票は無効」となるといいます。

▼過半数以上の「×」が付くと罷免、つまりその裁判官はクビになるという制度です。

 

過去23回の国民審査で実際に罷免された(クビになった)裁判官はいません。

しかし、私たちにとってこれはとても重要な制度であることには変わりありません。

上から順に

元東京高裁長官の小池裕裁判官(66)は、「第4次厚木基地騒音」訴訟で飛行機差し止めを「認めない」、つまり自衛隊機の飛行を可能と判決した裁判長です。

元東京高裁長官の戸倉三郎裁判官(63)は、「一票の格差」を合憲とした多数意見に賛成しています。

元弁護士の山口厚裁判官(63)は、捜査対象者の車にGPSを付ける捜査手法について、「令状がなければ違法」と判決を下した裁判に関わっています。

元大阪高裁長官の菅野博之裁判官(56)は、普天間・辺野古飛行場移転問題を巡り、「翁長知事の埋め立て承認取り消し」を「違法」とした判決に関わっています。この判決で国を訴えた沖縄県側の敗訴が確定。沖縄県の翁長知事による埋立ての承認取り消しは「問題のない前知事の承認を、違法として取り消したもので違法だ」と結論づけています。

元大阪高裁長官の大谷直人裁判官(65)は、森友問題で、学園側と財務省との交渉記録の証拠保全を求めた裁判で「棄却」とした判決に関わっています。

元法務省の人権擁護委員の木沢克之裁判官(66)は、学校や病院近くの風俗店の営業を禁じた京都府の条例について「合憲」とした判決の裁判長です。

元内閣官房副長官補の林景一裁判官(66)は、「一票の格差」を合憲とした判決に同意した裁判官です。ただし「合憲ではあるが、多数意見が言うように違憲状態と言うのには、ためらいがある」とかなり控えめに“違憲”側に配慮した補足をしています。

 

以上で注目されているのが木澤克之氏(66)。

あの加計孝太郎氏の大学の同級生なのだ。

木澤氏は1974年に立教大法学部を卒業し、77年に弁護士登録した。

これまで立大法科大学院教授や東京弁護士会人事委員会委員長、法務省人権擁護委員などの要職を歴任。

昨年7月に最高裁判事に就任したときは「立教卒の最高裁判事は史上初」と話題になった。

 

■安倍首相とゴルフを楽しむ仲

木澤氏を“時の人”としているのがもうひとつの経歴だ。13年から、加計学園の監事を務めていたのだ。前述のように木澤氏は加計氏の立大時代の同窓生。

監事になっても不自然ではない。ただ、加計氏のバックには“腹心の友”である安倍首相が控えている。

木澤氏は日弁連が推薦した候補者から判事に選ばれたわけだが、気になるのは決定に安倍首相が関わっていたかどうか、なぜ木澤氏の名前が出たのかということ。

週刊朝日によると、木澤氏は安倍首相と一緒にゴルフを楽しんだこともあるようだ。

最高裁に問い合わせたところ、「最高裁判事は裁判所法第39条によって内閣が任命することになっています。詳しい経緯は分かりません」(報道係)とのこと。

 

そこで内閣府に電話すると

「最高裁判事は総理大臣と国務大臣によって閣議決定されます。(木澤氏の名前が出た経緯は)最高裁がご存じかと……」(総務官室)

と一種のたらい回し状態。何だかよく分からない。

もっと首をひねってしまうのが木澤氏の経歴だ。

最高裁のHPに顔写真付きで紹介されている略歴は「平成25年 学校法人加計学園監事」と明記。

ところが総務省のHPに掲載された「最高裁判所裁判官国民審査公報」の木澤氏の略歴には加計の「カ」の字もない。

 

有権者はこの公報を読んで国民審査の投票を決めるのだが……。

こうしたことから、ネット上では安倍首相と加計氏、さらには木澤氏との関係についての文言が目立つ。

「安倍首相は加計学園のためにこんなことまでやっていたのか!!(略)NHK会長だけでなく、最高裁判事にまで手を突っ込んでいた」

「安倍首相は司法も私物化!」

「安倍首相と加計孝太郎理事長のオトモダチ関係が、木澤氏の最高裁判事任命にも何らかの影響を及ぼしたのではないかという疑惑が浮上した」

 

この経過をご存知の方はまだわずかと思われます。

果たして木澤氏に対してどのくらい「×」がつくのでしょうか?

 

 

■時の内閣に対する「忖度」はあるのか 元最高裁判事が語る

2001年から2006年までの5年間、最高裁判事をつとめた弁護士の濱田邦夫さんはこう指摘します。

 

Q.時の内閣から裁判官は任命されます。実際に判決に対して忖度はあるのでしょうか。

A.それが、非常に有名な今回の安保法制でも問題になった「砂川判決」という、米軍の日本への駐留が憲法違反かどうかという問題にあたって、時の最高裁長官の田中耕太郎という大変有名な立派な法学者で、私もかつては尊敬をしていたのですが、彼がアメリカの大使と密かに打ち合わせをして「違憲判決を書かないようにします」という大変なスキャンダルがありました。

そういうことが、何十年も経ってからわかったことですが、例えば現に進行している裁判について(仮にこうした事件が)発覚するということがあれば、国民審査にチェック機能が出てくる可能性はありますよね。

 

Q.濱田さんが最高裁の裁判官をされていた頃に行政からの無言の圧力を感じることはありましたか?

A.私が5年つとめた間では、そういったことはありませんでした。

ただ一つ、光華寮事件というのがありまして、京都にある台湾や中国人の学生が利用する学生寮の帰属(所有権)が、台湾と中国本土のどちらにあるのか争われた事件で、それについては長いこと判決が出ませんでした。

日本では三権分立で行政府、立法府、司法府は独立しているのですが、中国政府からすると裁判所というのは共産党の下にあると。

裁判所が独自に判断したとしても日本政府の判断ととられるということもあり、にわかに判断をしづらいというのがあり、私の在任中は判決が出ませんでした。

それは政府から何かを言われるということではなく、まさに最高裁の裁判官の方で、政治的な、国際的な影響を考えて忖度の問題ですよね。それに対して時の政府から何か言われてというのはありませんでした。

裁判所の方も司法部の判決が国際的な関係にどのような影響を与えるのか考慮するということはありえます。

 

 

忖度というのは日本の司法は強いのではないかという説を述べる専門家もいます。

アメリカのようにはっきりと「憲法に違反する」と堂々といろいろなレベルの裁判官が意思表示するのは少ないというのは残念です。

やめた元裁判官として現役の裁判官に対してあれやこれや言う立場にはありませんが、日本国民、一市民という立場から言うと、裁判所には三権分立の役割をしっかりと果たして欲しいというのはあります。

 

今回「国民審査」の対象となる裁判官のこともよく知らない有権者の方がほとんどだと思います。

無駄な投票用紙を印刷する前にもっと総務省のHPに掲載された「最高裁判所裁判官国民審査公報」の情報の正確性と充実性を深めた方がいいのではと思います。

 

 

 

 

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