「愛されたかった。さようなら」…虐待被害100人、醜い親への手紙

 

児童虐待を受けた100人が、親に宛てた手紙を集めた「日本一醜い親への手紙」(dZERO刊)が10月上旬に出版される。

1997年、同じタイトルで10万部を売り上げた本の第2作。

親への憎しみや愛されなかった悲しさ、決別の言葉がつづられている。

寄稿者の一人は、取材に「虐待で苦しむ人たちに、『一人じゃないよ』って伝えたい」と話す。

 

「お母さんを殺すか、自分が死ぬかで何度も迷ったんですよ」

大阪府内に住む鍼灸(しんきゅう)師の麻衣さん(32)(仮名)は、母親への手紙で、自身の生い立ちをそう振り返った。

4歳の時、虐待が始まった。

母親は出産後まもなく離婚しており、麻衣さんが「お父さんに会いたい」と伝えたところ、激怒して頬を思い切り殴られた。

小学生になっても暴力は続き、「娘というのは、母親の機嫌次第で殴られ、蹴られるものなのだ」と思っていた。

鍼灸師の専門学校を卒業後、家を出て開業したが、母親の過干渉でうつ病に。

昨秋、医師の勧めで母親との連絡を絶った。

それから1年。今はパートナーと子どもの3人で幸せに暮らす。

手紙では、母について「もう何とも思いません。憎むことで縛られたくない」とつづる。

ただ、手紙はこう締めくくられる。

「でも、本音を言うと…悲しいし、寂しいです。お母さん、あなたに愛されたかったです。さようなら」

 

手紙は4~6月にインターネット上で公募された。

本に登場する100人は中学生から50歳代。性的虐待や暴力、進学に必要なお金を用意しないなど経済的な虐待を受けたケースがあった。

麻衣さんは「虐待を受けている時、自分は世界にひとりぼっちだと思っていた。でも、同じように苦しむ人がいると知り、それだけで心が楽になった」と言う。

編集は、前作から引き続きフリーライターの今一生さん(51)が担当した。

今さんは「虐待を受けながら、それでも親を愛そうと、大人になって苦しむ人は多い。本には、『無理してつきあっていく必要はないんだよ』というメッセージを込めた」と話す。

こころぎふ臨床心理センターの長谷川博一センター長の話
「虐待を受けていたのに『親とうまくいかないのは自分のせい』と自らを責めがちな人が読めば、その考えから抜け出すきっかけとなり得る。
過度に親への不信感を募らせる場合もあり、悩んだら、一人で抱え込まず、専門家に相談してほしい」



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