中日・高橋周平 イチローに並ぶ記録
竜の未来を担う男が球史に名を刻んだ。
中日・高橋が3試合連続の3安打猛打賞。月間8度目の猛打賞で巨人・川上(51年9月)やオリックス・イチロー(96年8月)らに並び、プロ野球最多記録となった。
2回1死の第1打席でフルカウントからの7球目、内角直球を「追い込まれながら、あそこに打てたのが良かった」と左翼線二塁打にした。
4回は先頭で左翼席へ3号ソロ。
4―6の5回1死満塁では中前に同点となる2点適時打を放ち「皆が回してくれたチャンス。結果が出ているのは良いこと」とうなずいた。
今カードは13打数9安打と大暴れ。
打率も・347まで一気に上昇しリーグ2位に登り詰めた。
与田監督からキャプテンに指名された今季。
「皆が驚いているけど、自分が一番驚いている」と重責を背負った。
「引っ張ると言うより、見られている意識を持ってやりたい」と背中で示すキャプテン像を理想に掲げ、キャンプから猛練習に励んだ。
開幕こそ順調にスタートを切ったものの4月下旬から打撃不振に陥り、ゴールデンウィーク中には一時、打率が・250を下回った。
ただ、村上打撃コーチは「あれ(不振)があったから今がある」と力説する。
「球を追いすぎたり、内角を引っ張らないととか色々考え過ぎていた。調子が落ちたから気づけた」
とスランプを乗り越えたからこその好調と捉えている。
高橋自身も「不調の時とはバッティングが違う。周りから見たら分からないかもしれないが、自分の中では全く違う」と打席の中で確かな手応えをつかんだ。
打撃の神様・川上哲治氏や希代のヒットメーカー、イチローと同じ記録に並んだが「そこは気にしているつもりはない。嬉しいという気持ちもない」とサラリと言いのけた。
5月は残り4試合。
9度目の猛打賞でプロ野球記録の更新も見えてくるが「残り4試合がすべてじゃないので」と長いシーズンを見据えている。
今季初の同一カード3連勝の要因は、間違いなく高橋の大暴れにある。
左胸にある竜をかたどったキャプテンマークの「C」がより一層輝きを増してきた。