裁判員制度導入10年・死刑執行、続く苦悩

 

裁判員制度の導入から間もなく10年。

これまでに市民が関与した死刑判決が20件で確定した。

 

刑が執行された3件のうち、住田紘一元死刑囚=当時(34)=は殺人事件の被害者が1人だった唯一のケース。

自ら控訴を取り下げ、2017年7月に執行された。

「結果を抱えていかなければ」。

判決に関与した裁判員は今も続く苦悩を吐露する。

「一審で確定するような事件ではないと考えていた」。

岡山地裁で行われた住田元死刑囚の裁判で裁判員を務めた男性はメールでの取材に応じ、「控訴を取り下げた理由も分からないまま執行され、むなしさがある」と振り返った。

 

元死刑囚の裁判員裁判は13年2月5日に始まり、死刑判決は同14日に言い渡された。

 



男性は法廷での審理や、他の裁判員らと議論した評議について、「数日間の閉鎖空間での検討は、雰囲気によって流される」などと回想。

「急に見知った凄惨(せいさん)な事件に、感情論が大きく入るのは当然」と記した上で、「その結果を、裁判員は長い年月抱えていかなければならない」と苦しい胸の内を明かした。

 

裁判員制度は刑事裁判への「民意の反映」を目的としているが、男性は

「6人という裁判員の人数は非常に少なく感じる。裁判員が本当に民意を代弁しているかは、今も疑問だ」

ともつづっている。

 

元死刑囚の弁護人を務めた杉山雄一弁護士は、死刑事件では、必ず高裁、最高裁でも審理する制度が必要だと訴える。

「一審判決後、控訴審に向けて被害者や遺族への謝罪の意思を伝えるように勧めていたが、本人が取り下げてしまった」と振り返り、「同じような事例が生じないよう制度を改めるべきではないか」と話した。

 

住田元死刑囚と同様、被害者1人の事件で裁判員裁判が死刑を選択したのは他に3件。

いずれも二審で破棄され、無期懲役が言い渡されている。

 

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