「15分単位の勤怠管理」っておかしくない?

 

ある都内のIT企業では、PCを使った「勤怠管理システム」を導入することになった。

会社からは「システムに合わせた働き方をするように」と指示されたが、社員のAさんにはどうも納得行かないことがある。

 

それは、労働時間の管理が毎日15分単位で行われること。

少しでも遅刻すると出社時間が「切り上げ」になり、残業すると「切り捨て」になるので、実際の勤務時間よりも必ず短く記録されてしまうのだという。

 

例えばAさんが午前9時1分に出社した場合、システムでは9時15分に出社したように切り上げてカウントされる。

その一方で午後8時59分まで残業しても、システムでは8時45分に帰ったように切り捨てで記録されてしまう。

 

1分早く出社すればいいのだが

もちろん、あと1分早く出社し、1分遅く退社すれば、30分近く得になる。

この疑問を上司にぶつけたが、

「やっぱり遅刻はダメでしょう。ペナルティになってもしようがない」「ヨソの会社では30分単位の管理もあるよ」

などと言われ、改善する見込みはない。

 

しかしAさんは、この会社に都合が良すぎるシステムに不満をぬぐえない。

こんなものを放置していてよいのだろうか。

職場の法律問題に詳しいアディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士に聞いてみた。

 

 

――Aさんの会社のように15分単位で勤怠管理をしている会社は、まだまだ多いですよね。Aさんの上司が言っているように、30分単位で管理をしている会社すら存在します。

このような会社に勤めている方は、Aさんのように,労働時間が切り上げられたり切り捨てられたりすることで、腑に落ちない思いをした経験がある人も多いのではないでしょうか。



Aさんの会社では、現状が改善される見込みは全くなさそうですが、結論から言うと、このような勤怠管理の方法は許されません。

なぜなら大前提として、労働者が仕事をした場合には、使用者にはその時間分の給料を支払う義務があるからです。

 

 

現状では14分「ただ働き」になる

Aさんの例のように、Aさんが午前9時1分に出社した場合でも、出社後すぐに仕事に取り掛かったのであれば、9時1分から15分までの労働に対して、使用者は給料を支払わなければなりません。

それを切り上げて9時15分から労働したことにすることは、Aさんに14分間ただ働きをさせていることに他ならず、許されません。

 

ただし例外的に、労働時間を切り上げたり切り捨てたりできる場合があります。

厚生労働省が出している通達によれば、1か月間における残業時間等を合計した時に、1時間未満の端数が出た場合、それが30分未満であれば切り捨て、30分以上であれば切り上げることができるとされています。

例えば、1か月間における残業時間の合計が10時間28分であった場合、会社の事務処理上、残業代の計算の手間を省くために端数の28分を切り捨てて10時間とすることが認められています。

 

しかし、これはあくまでも「1か月単位」における残業時間等についての計算の場合に限ります。

ですから、Aさんの例のように,午後8時59分まで残業した場合、その日限りで労働時間を切り捨てて午後8時45分に帰ったようにすることは許されません。

 

 

労基署に訴えるか、遅刻しないように努めるか

Aさんとしては、労働基準監督署にこのような状況を訴え、行政からの指導を入れてもらい、状況が改善されるのを期待するという方法が考えられます。

また、弁護士を通じて差額の残業代を請求してもよいでしょう。

 

ただ、そのような方法で争うことで、仕事場に居づらくなってしまうかもしれませんので、遅刻しないよう出社時間ぎりぎりに出社するように努めて、ストレスを少し軽減させるのが一番現実的かもしれませんね。

 

 

 

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