気配り、声かけ・・長野久義の後継者は誰になる?

 

2007年師走。

夕暮れ時だった。

西武新宿線・新狭山駅の改札口。寒風吹きすさぶ中、私は1台の車を待っていた。

「新春ドラフト特集」の準備のため、ホンダの強打者・長野久義の取材に訪れていたのだ。

 

合宿所の最寄り駅には、マネジャーさんが迎えに来てくれる予定だった。

ホンダのワゴン車が止まり、運転席から日焼けした若者が出てきた。

「報知の記者さん、ですよね。遠路はるばる、ありがとうございます」

驚いた。長野本人だった。

「すいません。マネジャーが急用で」。

23歳は自らハンドルを握り、合宿所へと招き入れてくれた。

 

応接室で二人。「缶コーヒーしかないんですけど…」。

ありがとう。ごちそうになります。

 

「加藤さん、いい時計していますね」。

実は2年前、冬のボーナスを全部ブッ込んで買った自慢のアイテム。

うれしくなった。初対面なのに、話は弾んだ。気配りができる男。

私は長野が好きになった。

 

あの日から11年の歳月が経つ。

09年ドラフト1位で巨人に入団した長野は、10年に新人王、11年に首位打者、12年に最多安打のタイトルを獲得。



中心打者として12年からのリーグ3連覇に貢献した。

昨季は116試合に出場し、打率2割9分、13本塁打、52打点の成績を残した。

 

しかし、長野が成し遂げてきた「仕事」はこれらのバットが生み出したものだけではない。

チームが一つになるため、勝つために、ずっと心遣いを重ねてきた。

中でも期待と不安を胸に海を越えて日本にやってきた、助っ人たちへの配慮は特筆に値するだろう。

 

マシソンはかつて、こんな話をしてくれた。

「珍しい人だね。あれだけすごい選手なのに、みんなに気を遣ってくれるんだ。僕が来日して間もない時も、言葉の壁を越え、真っ先に自己紹介してくれたんだよ」

 

14年から3年間、巨人でプレーしたアンダーソンは言った。

「長野さんは僕が今まで出会った中で一番、心が清らかで、温かい人だよ」

 

長野の新天地は広島に決まった。

快活で謙虚な人柄だけに、カープでもナインやファンに愛される存在となることは間違いない。

 

そして今後の巨人には、長野が長年務めてきた「数値化されないファインプレー」を遂行できる後継者の出現が求められる。

助っ人にさりげなく声をかけ、笑顔で励ます。

長野の背中を見続けてきた若きG戦士の中で、誰がそのような役割を担うのか。

グラウンドの内外に熱視線を送っていきたい。

 

 

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