貴ノ岩を引き留めた 千賀ノ浦親方の涙

 

付け人への暴行で引退した貴ノ岩(28)を、かつての師匠・貴乃花は“10年は会わない”と突き放した。

このたび取材に応じた貴ノ岩は

「テレビでのコメントを見て、複雑な気持ちにもなりました」

と、胸中を明かす。

一連の騒動で体重を9キロ落としたという貴ノ岩。

その口から語られる“本音”は……。

***

 

自身が加害者となった暴行事件に話を振ると、

 

「千賀ノ浦親方には、本当に感謝しています。12月5日に九州での暴行が問題になって、すぐに私は東京に戻されました。親方と2人できちんと話す時間ができた時、親方にはまず“どんなことがあっても手をあげちゃいけない”と叱られました。

でも、自分が引退について口にすると、“もう少し考えたほうがいい”と。親方は泣いていたんです、私のために。それでも“引退して責任を”と自分が言うと、“まだ続けてもいいんじゃないか”と引き留めてくれて、親方のためにも立派な引退相撲を取りたかったと強く感じました。

もともと親方はうちの部屋(旧貴乃花部屋)の部屋付き親方で、新弟子のころから一緒に頑張ってきました。8年か9年くらい前ですね。だから親方も、僕の引退を悔しく思ってくれたんだと思います。世の中の人は、数カ月の付き合いと思っているかもしれないけど、親方への気持ちはもっともっと強いです」

ここで長年の後援者の言葉も加えておこう。

「暴行騒動が表沙汰になって、貴ノ岩からは“ごめんなさい”というメールを最後に連絡が途絶えました。心配して何度も電話やメールをしても返事はなし。その後、また連絡が来たのは引退報道のあった7日から2日経った9日でした。沈んだ声で“すみません……”と言葉を詰まらせるから、たまらない気持ちになって……。

“お前、食べるものには困ってないのか”と言ったら、ほとんど何も食べてないって言うから、好物のマクドナルドのダブルチーズバーガーと、弁当屋の焼き肉弁当とからあげ弁当を買い込んで彼の自宅に行きました。普段は少々コワモテの貴ノ岩ですが、差し入れを渡すとにこっと笑って“ありがとうございます”と。そんな彼の笑顔を見ると、引退という結果になってしまったことを改めて悔しく思います」

 

プロレスへの想い

青春を賭けた相撲。



未練は断ちがたかったのではないか。

貴ノ岩が続ける。

「はい。相撲は小さい時から好きでした。それに、強くなって家族を守りたいという気持ちもあった。そうして日本に出てきて、最低でもあと5年くらいは頑張りたいと思っていました。引退相撲だって、もっと上を目指して、しっかり結果を出して、三役以上にあがって、そのうえでやりたかったと思います。そういう意味では、とにかく悔しい。

でも何度も言うように、責任を取りたいという想いで自分でやめると決めた。だからせめて、断髪式はきちんとやり遂げたい。断髪式は相撲人生の最後の節目。できるだけ多くの人に見てもらいたいんです。『無観客か』なんて報道があるけれど、そんなこと絶対にありません。

引退相撲をやらないことを言いたいのかもしれないけど、これは誤りです。断髪式はちゃんとやります。これまでお世話になった人にしっかり見てもらえるように、準備をしているところです」

 

大仁田厚氏からは「プロレス界でヒールになれ」とラブコールを受けたが、今後については?

 

「そもそもオファーは来ていません。もし来たとしても、やるつもりはないです。プロレスと相撲では、土俵が違う。プロレスは格闘技であって、そんな甘いものじゃないですよ。自分はきちんと敬意をもっている。今後については正直、深く考えられないまま、引退を決めています。

入院費の300万円弱も自分で払っているし、この1年は相撲を取れなかった時期も長かったから、お金に余裕があるわけではないですけど、まずはモンゴルに一度帰って、支えになってくれた家族とゆっくりしたい。来年2月2日の断髪式を終えたら、しばらくはのんびりと過ごし、今後のことはそのあと考えていきたいです」

 

最後に改めて、貴乃花親方への想いを。

「高校生で日本に出てきて、貴乃花部屋に入って一生懸命頑張ってきました。だからこそ、貴乃花親方には“最後まで見届けてほしかった”というのが正直な想いだし、親方が協会から去ったときは心細く感じました。

テレビでのコメント(註:冒頭の一件)を見て、複雑な気持ちにもなりました。断髪式には貴乃花親方にも来てほしい。情けないと言われるかもしれないけど、最後の姿を見てほしいと思っています」

 

一寸先は闇。

と同時に光でもある。

 

その真率な意味を噛み締める貴ノ岩だった。

 

-スポーツ, 事件・事故, 国内, 話題
-, ,