「躊躇してはいけない」上祐史浩氏が麻原彰晃の死刑執行に見解

 

元オウム大幹部・上祐史浩氏は、オウムの後継団体「アレフ」の代表を務めた後に麻原ファミリーと対立、分派し「ひかりの輪」を設立。

 

同団体は「麻原脱却」を掲げている。

 

死刑についても、上祐氏は「執行を躊躇してはならない」と訴えるのだ。

 

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上祐氏が続ける。

「執行が延びれば、弊害はあまりに大きい。アレフはどれだけ勢いづくのか。

 

 

例えばアレフは、2011~12年、逃亡犯だった平田信や高橋克也、菊地直子が出てきた時に、『万歳』をしたんです。

逮捕によって、オウム裁判が再び始まり、麻原の執行は一旦停止されました。

それを彼らは、自分たちが帰依していたから麻原は延命できたのだと受け取ったのです。

 

また、麻原は獄中で、『自分は不死の身体を得る』と主張しています。

つまり、アレフの信者から見れば、執行が止まったことは、麻原の超能力が証明されたことに他なりません。

 

 

『死刑が執行されれば、麻原は神格化されませんか』

 

最近、一般の人によくそう聞かれます。

しかし、それはオウムを知らない人の考え違いでしょう。

そもそも、麻原はアレフでは既に神格化されています。

中では、『(麻原の)姿を見た』『今この道場の中にいる』などと妄想のようなことが語られている。

 

 

これに加えて、もし彼の執行が延びればどうなるでしょうか。

延びれば延びるだけ、彼の予言が成就したことになる。

 

イエス・キリストですらユダに裏切られて磔(はりつけ)にされた。

しかし、麻原はそのイエスをも超えた、『不死の超救世主』として解釈されてしまうのです。

帰依に布教に、これほどアレフを勢いづかせることはないはずです」

 

 

アーナンダの皮肉

実際、公安調査庁のデータによれば、アレフにはここ数年、年間100人を超える信者が入信し、10億円近い資産を持つ。

これが更に勢いづく、というワケなのだ。

それにしても、麻原はなぜ“壊れた”のか。

 

上祐氏は今の彼をどう見るのか。

 

「一言で言えば、子どもの世界に入っている。当初は法廷で弁論に応じていた麻原がおかしくなったのは、弟子たちが次々に自分から離反し、証言で彼の主張を崩し始めていってから。とりわけ、愛弟子であった井上(嘉浩・死刑囚)の離反は大きかったと思います。

自分は救世主だと思っているのに、弟子が楯突いてくる。彼はそうした矛盾する現実を受け入れられなかった。その精神的ショックから、精神活動が低下してしまった――。普通の大人なら、自分に教祖として足りない部分があったから離反されたという『現実』を受け入れますが、彼はそこで子どものように逃げてしまう。

そして、自分は被害者、周りは加害者という、いつもの世界に落とし込んでしまったのではないか。その意味では、事件時から今に至るまで、麻原の本質は何も変わっていないのだと思います。

ちなみに、麻原は井上に『アーナンダ』というホーリーネームを付けましたが、実は仏典ではアーナンダは、釈迦牟尼の入滅の際、魔境に入り、その原因を作ってしまったとされている弟子。実に皮肉な結末ではないでしょうか」

 

 

幽閉の理由

オウムには麻原のほかに12名の死刑囚がいる。

 

彼らへの執行に反対する声もあるが、

 

「確かに、マインドコントロールされただけ、上の命令に従わなければ殺されたという主張はあると思います。ただ、それを認めてしまうと『信じた責任』が曖昧になってしまう。

自らがその人を救世主だと信じ、その人の指示に従ったにせよ、人を殺したという責任が曖昧になってしまう。また、他の死刑囚に比べて特別扱いが過ぎる。執行は抗えないことだと思います」

 

 

とはいえ、これは同じく麻原を盲信した上祐氏にもブーメランのように当てはまる。

 

かように理路整然と話す中でも、どことなく言葉が他人事に聞こえてしまうのが「上祐話法」。

 

これはこれで、事件当時と変わっていないようにも見えるのである。

 

「麻原の執行があれば、アレフは存続の危機でしょう。そもそも、私が2007年にアレフから脱会したきっかけの一つは、教団の中で、麻原が事件に関与したことを認め、いずれ死刑が執行されることを前提に、麻原の予言と復活を基にした教義を捨てないとダメだ、と話をしたこと。それによって、当時の代表だった私は事実上の幽閉状態にされてしまったのです。

つまり、麻原が死刑になるというのは、教団の中でそれだけのタブー。死刑にならないために、ありとあらゆる努力をすることはあっても、いざ死刑になってしまえば、現実に基づいてどう考えるか。その準備がまったくできていないのが実情なのです。

もちろん、麻原自身、自分が死刑になった後は、こうすべし、という指示を一切出していませんから、これは彼らにとって大きなショックと混乱を招くでしょう。

押さえておかなければならないのは、オウムの教義上、唯一、殺人その他を指示できる権能があるのは、麻原彰晃だけということ。つまり、麻原の執行が終れば、それを指示できる者がいなくなるのです。麻原の死はすなわち、オウムのテロの理論的根絶なのです。

だからこそ、社会は麻原を特別視してはならない。もし過剰反応をすれば、アレフは、世間も教祖を死刑にするべきではない、と思っているのではないかと勘違いしてしまうのではないでしょうか。他の死刑囚と同じように、粛々と刑を執行する。これこそが、犯罪を繰り返させぬために最も必要なことではないかと思うのです」

 

 

 



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