犬の散歩中の事故・判決と余波

2018/04/14

 

初夏の穏やかな陽気に恵まれた日曜の朝──2015年6月、大阪府高槻市の閑静な住宅街に、ミニチュアダックスフントを散歩させる60代女性の姿があった。

 

体重6kgと小柄なメスの愛犬は、定年退職した夫と夫婦2人の生活の中では愛娘のような存在。

かわいいからこそしつけも徹底していた。

散歩中に他の犬を見かけても、吠えたり興奮することなど一切なかった。

 

 

しかし、この日だけは違った…。

 

リードをつなぎ、いつもの散歩道を歩き出して100mほどの場所で異変は起きた。

 

 

愛犬が、交差点の向こうで、女性に連れられ散歩している柴犬を見た途端、突然吠え出し、全速力で走り出したのだ。

飼い主の女性は、あまりの勢いに、思わずリードから手を放してしまった。

 

 

そこに偶然通りかかったランニング中の40代男性は、“暴走”する犬を避けようとして転倒。

側溝に落ちて右手首を骨折してしまう。

 

 

被害者男性は6日間の入院に加え、10か月の通院を余儀なくされた。

 

手首の可動域が狭まる後遺症も残り、2016年11月、飼い主の女性に3948万円の支払いを求める裁判を起こした。

 

 

それから1年半後の3月23日、大阪地裁は女性に対し過失責任を認め、被害者男性へ1284万円の支払いを命じる判決を下したのだ。

 

 

飼い主夫妻の知人が言う。

 

「事故が起きて、奥さんは相当落ち込んでいました。普段なら明るいかたなのに、事故以降は挨拶もそこそこに、無口になってしまって…。だから私たちも、事故のことは聞かんようにしていたんですよ。

それにしても、最初は約4000万円の損害賠償でしょう…。ワンちゃんのやったことでそんなに大きな金額になるなんて、信じられませんわ」

 

 

本誌・女性セブンが加害者女性を訪ねると、夫妻で現れ、夫が応対。

 

「裁判の結果も受け入れていますし、何もお話しすることはありません」

と話すのみだった。

 

飼い主側の担当弁護士が女性の気持ちを代弁する。

 

「彼女は、リードを手放したことをとても後悔しています。被害者のかたへの申し訳ないという気持ちはずっと持ち続けています。今も犬の散歩は続けていますが、リードはバッグに固定し、絶対に放さないように気をつけているそうです」

 

 

事件について、ペットトラブルに詳しい長瀬佑志弁護士が解説する。

 

「リードを放して相手にけがをさせてしまったら、たとえ故意でなくても飼い主側の過失として、損害賠償責任を負うことになります。これは民法709条や718条、動物の愛護及び管理に関する法律第7条などでも定められており、飼い主は“知らなかった”では済まされません」

 

 

ちょっとした不注意で、1000万円以上もの賠償が発生するとは驚きだが、賠償額について、ペット問題に詳しい行政書士の福本健一さんが指摘する。

 

「右手首が曲がらなくなる重い後遺症を考えれば、被害者の請求額の3分の1の額は決して高くありません」

 

 

さらに被害者男性は、“二次被害”も受けていた。

 

「どこで電話番号を突き止めたのか、知らない人から突然『たいしたけがでもないくせに、大金もらいやがって!』と、一方的な中傷の電話もかかってくるようになりました」(被害者男性側の弁護士)

 

保険は付けておかないといけませんね・・・・

 

 

 



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