財務省・太田充理財局長、国会で針のむしろも「財務次官候補のエース官僚」

 

学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書改竄(かいざん)問題は、当時理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官(60)の証人喚問を27日の衆参両院予算委員会で行い、新たな局面に入る。

 

 

国会論戦で与野党問わず、連日の猛批判を浴びてきたのが太田充(みつる)理財局長(57)だ。

 

針のむしろに座りながら平身低頭、かつ早口で答弁する姿が印象的だが、実は「最強官庁」の異名を取る財務省で近い将来の事務次官候補とも目されるエース官僚だという。

 

「やっぱり、国会で答弁させていただくことは大変責任が重いですし、ものすごく緊張しています」

 

「答弁することは、私が至らないので大変です。一生懸命整理して、勉強して、その上で答弁をしてもなかなか上手にできず、理解いただけないことは多いと思いますが…」

 

 

太田氏が悲痛な表情でこう答弁したのは3月14日の参院予算委だった。

過去の佐川氏の国会答弁との整合性を取るため、昨年2~4月に行われたとされる改竄について繰り返し追及されたときだ。

 

続けて、こんな私見を述べた。

「正直に申し上げると、私個人にとっては理解できないことでございます」

 

 

太田氏は3月2日に朝日新聞が改竄疑惑を報じて以来、財務省を代表して国会で数々の批判を受けてきた。

「まさに財務省による財務省のための情報操作だ」(自民党の西田昌司氏)

「これほど国会をなめた話はない。財務省は国民をバカにしている」(公明党の横山信一氏)

 

 

改竄は理財局による組織防衛のための隠蔽であることが明らかになりつつある。太田氏は「何度もおわび申し上げても許していただけないと思います」(3月19日の参院予算委)などと謝り続けてきた。

 

ちなみに、森友学園への国有地売却交渉や決裁文書改竄が行われた平成28年春から29年春、太田氏は問題とは直接関係のない大臣官房総括審議官で、関与していなかったとみられる。

 

当時の理財局長は迫田英典氏(58)、そして佐川氏だ。

 

もちろん太田氏は現職の理財局長として国会で説明を果たす責を負う。

国会や与党への報告をめぐり「遅い」と批判されて然るべき対応もあり、矢面に立つのは当然だ。

 

 

その答弁は一見、頼りない印象にもなりがちだが、実は「うまい」。

 

 

国会議員の厳しい追及に対し、紋切り型の官僚答弁を繰り返すだけでは相手を怒らせるだけだ。

冒頭に紹介した答弁では、太田氏は「私個人」として「理解できない」と述べ、身内をかばうだけではない姿勢を見せつつ、明確にできない核心部分の言質は与えない。

 

「国会議員を敬う姿勢」と「謙虚な気持ち」も打ち出す。

 

 


【もしもアフィリエイト】ってなに?


おそらく初めて声を荒らげたのは、3月19日の参院予算委で自民党の和田政宗氏(43)にこう問われた場面だ。

 

「まさかとは思うが、太田理財局長は(旧)民主党政権時代の野田佳彦首相の秘書官を務め、増税派だから、アベノミクスを潰すため、安倍政権をおとしめるために意図的に変な答弁しているんじゃないですか」

 

 

現政権の敵だと疑われては官僚として立場がない。

 

太田氏は声を震わせ、首を横に振りながら反論した。

「私は公務員としてお仕えした方に一生懸命お仕えするのが仕事なので、それをやられると。さすがにいくらなんでも、そんなつもりは全くありません。それはいくら何でも、それはいくらなんでも、ご容赦ください!」

 

 

和田氏は「政治側にやましいことは一つもない」「政治と官僚との戦いでもある」とも述べた。

 

太田氏は悪しき財務官僚の「顔」のような存在になってしまった。

 

 

そんな太田氏に対しては「前任者が起こした問題なのに、完全な尻拭い」などの同情論も聞こえてくる。

 

 

「太田さんの仕事ぶりを見ていたが、一党一派に偏しない、日本国に忠誠を尽くす官僚だ。極めて優秀な仕事ぶりに感銘した」

 

3月20日の衆院財務金融委では、野田政権で首相補佐官を務めた立憲民主党の末松義規氏(61)が追及相手の太田氏を絶賛する場面があった。

野党議員として与党の和田氏を批判する目的もあろうが、実際に太田氏を評価する声は多い。

 

 

文書改竄問題の国会対応に当たっている与党国対幹部は「国対への説明も的確で、財務官僚らしからぬ低姿勢」と評する。

「見るからに切れ者」というタイプではないのだが、財務省関係者によれば、部下に慕われており、同期入省(昭和58年)の岡本薫明主計局長とともに事務次官の有力候補だという。

 

 

昨夏の人事では、事務次官コースの定番である官房長ではなく、理財局長に就任した。

コースから外れたのではなく、理財局の立て直しを期待されたようだ。

 

 

メディアも同様の見方だった。

例えば、昨年7月25日の「週刊エコノミスト」は「2017年『霞が関人事』の裏側」と題した記事で「総括審議官から理財局長に異動する太田充氏は次の次、つまり2年後には次官になることが有力視されている」としている。

 

 

改竄問題は27日の証人喚問が分水嶺(ぶんすいれい)となる。

 

太田氏は失墜した財務省の信頼回復に向け手腕を発揮できるか-。

 

 

 

-事件・事故, 国内, 話題
-, ,