閉店ラッシュの「TSUTAYA」、レンタル実店舗に未来はあるか?

 

「まさか、地元のツタヤが閉店するなんて……」

近ごろ、SNS上ではこんな嘆きのつぶやきが毎日のように聞こえてくる。

そうなるのも無理はないだろう。

TSUTAYAは2017年度だけで全国70店舗以上も閉店しているからだ(都商研調べ、閉店予定含む)。

 

その分布は北海道から沖縄まで都心、郊外を問わず広範に及び、決算を控える年度末には閉店店舗が更に増える可能性もある。

映像・音楽の定額配信サービスが急速に普及するなか、豊富なレンタル作品をラインナップする実店舗は“時代遅れ”な存在としてこのまま消え去ってしまうのだろうか。

 

◆「恵比寿」や「六本木」の旗艦店も“落城”

TSUTAYA閉店・縮小の波は東京都心の旗艦店にも押し寄せている。

都内初の都市型店舗として1994年10月に開業した「恵比寿ガーデンプレイス店」は、“ないビデオはない”をコンセプトに、都内屈指のビデオ・DVDの品揃えを誇っていた旗艦店。

隣接する「ウェスティンホテル東京」では全客室にDVDプレーヤーを設置し、宿泊客はDVDレンタルが無料になるなど独自のサービスも魅力だったが、2月末での閉店が決まった。

また、六本木駅前のビルに入居する「六本木店」は、六本木ヒルズに立地する旗艦店「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」の陰に隠れた“知る人ぞ知る”店舗であったが、こちらも2月末での閉店が決まっている。

このほか、かつてレンタルCDの品揃えが国内トップクラスだった「新宿TSUTAYA」は2017年11月のリニューアルに伴いレンタルCDの取り扱いを終了。

 

施設はTSUTAYAによりブック&カフェやコワーキングスペースが中心の新業態店「新宿ミニムビルⅠ・Ⅱ」へと生まれ変わり、若い女性などが気軽に入りやすい店舗となった。

 

しかし、かつては「レアCD」目当てに足繁く通っていた音楽ファンも多かっただけに、常連客にとってはなんともショッキングな業態転換となってしまった。

 

こうした「従来型TSUTAYA」の相次ぐ閉店・縮小の背景はあるのは、言うまで無く「Amazon Prime ビデオ」や「Netflix」といったネット動画配信サービス、「Spotify」や「LINE MUSIC」といった音楽配信サービスの台頭による、実店舗型のレンタルDVD・CD店の売り上げ不振だ。

 

一定額を払えば好きな作品が見放題・聴き放題となる定額配信サービスは、いちいち実店舗へ行って貸出・返却をする手間も省けるため、消費者の「TSUTAYA離れ」を決定づける大きな要因となっている。

なお、かくいうTSUTAYAも「TSUTAYA TV」で動画の定額配信サービスに参入しており、「実店舗減らし」への流れが確実に出来つつあると言っていいだろう。

 

 

◆CCCは「ライフスタイル提案」の書店事業にシフト

こうした情勢の変化を受け、TSUTAYAを運営するCCC (カルチュア・コンビニエンスクラブ)も経営基軸をレンタル事業から「蔦屋書店」で知られる書店事業へとシフトしつつある。

 

書店事業では、本に関連した商品なども合わせて陳列する「ライフスタイル提案型」の店づくりが大きな特徴だ。

2017年度は4月に銀座松坂屋跡の複合商業施設「GINZA SIX」に“アートと日本文化”がテーマの新店舗を出店し、「TSUTAYAが銀座で日本刀や春画を商品として売る」という“破天荒さ“が話題を呼んだ。

 

また、同月には大手家電量販店「エディオン」との提携により書店と家電売場が一体化した「蔦屋家電」の2号店をJR広島駅前に出店している。

さらに、近年はCCCが出版社自体を買収する動きも相次ぎ、12月には女性向け雑誌を中心に手がける「主婦の友社」を新たに買収。

 

“モノ”から“コト”に消費構造が変化するなかで、これまでの「本に合わせた売り場作り」から更に上の段階である 「売り場と一体化した本作り」の領域に突入しつつある。

 

時代が移り変わる中で、レンタルが中心の従来型店舗はあっさりと“終焉”を迎えてしまうのだろうか。

 

◆ネット配信の「穴」突いた戦略で生き残れるか

絶体絶命とも言える従来型のTSUTAYAに生き残る道があるとすれば、まだまだ発展途上にあるネット配信の“穴”を突いた戦略を行うことだろう。

定額を払えば見放題・聴き放題と一見「無敵」にも思えるネット配信だが、日本人なら誰もが知るような有名アーティストや有名作品が配信未対応となっているケースが動画・音楽ともに多い。例えば、Mr.Children、サザンオールスターズといった有名バンドは2018年2月5日現在で定額配信に参入しておらず、「ミスチルやサザンが聴きたい」という人は、ほぼ必然的に最寄りのTSUTAYAへと駆け込むことになるだろう。

もちろん、同様に定額配信サービスでは見ることができない映画やアニメも少なくなく、消費者が見たい・聴きたいと思う有名作品が「定額配信サービス未対応」である限り、従来型のTSUTAYAはその受け皿としてまだまだ機能しうる可能性があるのだ。

実際に、TSUTAYAは2017年10月から月額1,080円を払えば動画の定額配信サービス「TSUTAYA TV」の利用に加えて、実店舗で旧作が返却期限なしで借り放題となる「TSUTAYAプレミアム」の提供を開始。

 

「ネットにないものをリアルで補完する」という合理的な使い方が示されたことで、実店舗の存在意義がはっきりと浮かび上がったかたちだ。

このTSUTAYAプレミアム、店舗によっては入会後1か月間「完全無料で借り放題」となる「赤字覚悟」の独自特典を導入しているところもあり、様々な定額配信サービスが生まれるなかで「ネット」と「リアル」の両方において顧客の囲い込みを図りたいというTSUTAYAの思いが見て取れる。

とはいえ、今後の定額配信の普及状況次第では、従来型のTSUTAYAはいつ滅びてもおかしくない。

 

街のレンタル店から大型複合書店、ネット配信へと姿を変えつつあるTSUTAYA。

 

将来に亘って生き残るためには、過去の栄華に囚われない「捨て身の姿勢」と、時代に合わせた「変わり身の早さ」が求められそうだ。

 

 

 



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