【平昌五輪】 ザギトワの金・ 会場ではブーイングも・・・

 

究極のハイレベルな争いとなった女子フィギュアのフリースケーティングは、

SP首位だったアリーナ・ザギトワ(15、OAR)が、156.65点、

“女王”エフゲニア・メドベージェワ(18、OAR)も同じく156.65点の同スコアに終わり、

 

SPで首位に立っていたザギトワが、そのリード分、わずか1.31点差で金メダルを獲得した。

 

だが、その両者の採点を巡って海外では早くも議論が巻き起こっている。

パーフェクトな演技に見えたメドベージェワが逆転できなかったことに疑問を投げかけたのは、ソチ五輪アメリカ代表のアシュリー・ワグナーだ。

 

ザギトワの金メダル決定後に3本続けてSNSにツイートした。

「うーん。あの(競技の)後で言えるのはこれだけ」

とつぶやき、続いて驚きと困惑が混じったような表情の動画をアップした。

 

さらに、

「最後に楽しませてくれた今夜のトップ3選手へ」

と感動しながら拍手をする動画で締めくくったが、何やら意味深なツイートだ。

 

ワグナーは、欧州選手権でザギトワがメドベージェワを破って優勝した際にも、技術基礎点が1.1倍となる後半に7つのジャンプをすべて詰め込む“得点重視”の芸術性を無視したともいえるザギトワの戦略的なプログラムを批判していた。

「技術的には完璧で、その競争心には敬意を表します。でもこれはない。プログラムではない。彼女の前半は空っぽで、後半がカオスになった。これは演技ではない。採点の仕組みがそうさせていて、彼女のことを責めることはできないが、私は楽しめなかった。これはフィギュアスケートではないと思う」

それだけに「アンナ・カレリーナ」の世界をまるで劇場作品のごとく美しく華麗に演じきったメドベージェワが逆転できなかったことに疑念を投げかけたのだろう。

 

英国のBBCも

「最後に滑ったメドベージェワは、ザギトワに十分に追い付いたように見えたが、審判たちは、2人に同じ得点を付けた」

とザギトワの金メダルに批判的に報じた。

「わずかに有利な状況でフリースケートに入ったザギトワは、力強い演技を見せたが、3回転ルッツの着地でわずかにミスが出た。メドベージェワは、素晴らしい演技ですぐに続き、審判の得点結果が発表された後、観客の一部からはブーイングが起きた」

とも伝えた。

 

BBCは、1980年冬季五輪レークプラシッド大会で男子フィギュアで金メダルを獲得したロビン・カズンズ氏の演技分析も掲載した。

「ザギトワは乗っていたが、自分の心には響かなかった。メドベージェワは、我々にすべてを届けてくれた。その通り彼女のジャンプは小さかったが、それらは綺麗だった。彼女の演技は見事だった。彼女はショックを受け、我々のほとんどもそうだったと思う」

と、ザギトワの金メダルに問題提起を行った。

 

演技構成点では、ネドベージェワは「音楽の解釈」の部門で5人が10点満点をつける9.89の高得点を稼ぐなどして77.47点をマークしたが、ザギトワも、75.03点と大健闘。ザギトワを上回っているはずの芸術性、表現性の部分で、それほど大きなリードを奪うことができなかった。

 

ザギトワの金メダルに批判的な意見のほとんどは、この差がもっとあっても良かったのではないか?という見解だ。

 

ザギトワは、後半最初に3回転ルッツ+3回転ループの連続ジャンプが、単発に終わるミスを犯した。

 

その後に3回転ルッツ+3回転ループジャンプを跳び直して見事にカバーしたが、作品全体としての評価とすれば、このミスは、演技構成点にもっと影響を与えても良かったのではないか、という見方だ。

 

しかも、この単発に終わった3回転ルッツにも、0.50のGOE(出来栄え点)加点がついていた。

 

一方、ザギトワの金メダルを支持する声も圧倒的だ。

 

今回、羽生結弦が五輪連覇を果たしたが、66年前に連覇を果たし、現在は、フィギュア評論家でもあるディック・バトン氏は、ツイッターで

「メドベージェワについて、自分の意見としては彼女の演技は他の人が思うほど満足できる演技には見えなかった」

という見解を示した。

 

「(ザギトワの金メダルは)正しい判断だった。メドベージェワはエレガントではなかった。技術的に強かったが、パフォーマンスは弱かった。ザギトワは氷上のバレリーナだ。リュドミラやプロトポポフと同じようなクオリティーだった」

と、ザギトワの金メダルを支持した。

 

アメリカのタイム誌は、

「2017年の世界ジュニアチャンピオンで15歳のザギトワの肝をつぶすような高得点はどのようにして出たのか? 彼女はボーナス得点が得られる後半の演技にジャンプなど高い得点価値のある動きを残していた。ロシアの体操選手にあやかって名付けられたバレリーナのようなザギトワは、この戦略を見事に成功させた」

と、後半に7つのジャンプを集中させたプログラムを評価した。
 

ザギトワが前日の公式練習で3回転+3回転+3回転のトリプルジャンプを含む5本の3回転ジャンプを連続で決めていた様子を伝え、

「18歳のメドベージェワは、ザギトワのようなプログラムを組まなかった。より叙情的なスケート選手であるメドベージェワは『アンナ・カレリーナ』の曲によるフリースケートで難易度の低い3回転+3回転のジャンプコンビネーションを選び、大きな加点を得られない前半に2つの難易度の高いジャンプを持ってきた」

と、両選手のプログラム構成の違いが勝敗を分けたと分析した。

 

7つのジャンプを後半に入れてきたザギトワは、ジャンプの基礎点だけで、50.71点もあり、ネドベージェワの46.73点を大きく上回っていた。

 

CNNは

「『アンナ・カレリーナ』の演技のあと、韓国の観客たちはメドベージェワに向けて多くのぬいぐるみ人形を愛情とともに降り注ぎ、彼女の目からは涙があふれた。彼女は若き同僚と感動の抱擁を交わした」

と報じる記事の中で、会場に詰め掛けたファンの声も紹介していた。

 

「ロシア人ファンの一人は、ザギトワを強く擁護し、『我々は、メドベージェワのことは大好きだが、ザギトワはもっと強かった』と語った。別のファンは、ロシア選手の1位、2位について、『金メダル、銀メダル、どちらがとっても構わない!』と言った。彼らは大きな度量を持って競技を見ていた」

とまとめていた。

 

ザギトワの金メダルに対する疑念の議論の最終結論は、こういうことなのかもしれない。

 

 

 



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