白鵬マネ・電話をかけた取材に「どうでもいいんじゃない」
昨年12月に続いて、再び貴乃花親方(45)が本誌(「週刊新潮」)の直撃取材に応じた。
この約2カ月の間、「渦中の人」であり続けた親方の口から漏れたのは、春場所での復帰を目指す愛弟子の貴ノ岩が陥った苦境について、であった。
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「貴ノ岩を早く土俵に戻してやりたいと思っているのですが、今は本人が落ち込んで落ち込んで大変です」
相撲協会の新たな理事の顔ぶれが決定する前、本誌の直撃取材に応じた貴乃花親方はそう心情を吐露した。
貴ノ岩が落ち込んでいる理由は1つではない。
暴行事件の影響で相撲がとれないどころか、稽古すらできなくなってしまったこと。
休んでいる間に体力が落ちてしまったこと。
そして、母国モンゴルで「日馬富士を引退に追い込んだ」と批判されていること……。
なぜこんなことになってしまったのか。
貴ノ岩は目下、苦境から抜け出せずにもがきながら、自問し続けているに違いない。
全ては1本の電話から始まった。
貴ノ岩が横綱白鵬から金星をあげた昨年の初場所。
その取組の前日夜、白鵬の側近が貴ノ岩に執拗に電話をかけていたことは以前、本誌でお伝えした通りである。
“どうせ星の話だろう”と直感した貴ノ岩はその電話に出なかった。
白鵬としては、電話を無視された上、翌日には敗北を喫し、二重に屈辱を味わったわけだ。
そしてそれが、暴行事件が起こった日の「説教」に繋がるのである。
問題の電話を貴ノ岩にかけたのは、白鵬のマネージャーを務めている龍皇(りゅうおう)(34)。
モンゴル出身で、白鵬より1年早く宮城野部屋に入門し、2013年に引退した元幕内力士である。
その龍皇に貴ノ岩への電話について質すと、
「俺が? 初場所? それは分からないですね。まあ、電話は何だろう、いっつも、普段、あの、えー、してるのは、したことある、そりゃ。場所中、場所前とかそういうふうに言われると分からないです、はい」
――取組前日の電話となると、当然、八百長の依頼だと疑われるが?
「そういうことになるかもしれないですけど、ない、ない」
――電話をかけたことについてどう思っている?
「まあ、どうでもいいんじゃない」
「貴ノ岩のことを第一に…」
都合の悪いことについては答えをはぐらかし続け、挙句の果てに“どうでもいい”と捨て台詞を吐く。
側仕えを務めるうち、言動まで「ならず者横綱」に似てしまったのかもしれない。
いずれにせよ、人を食ったような龍皇の対応を貴乃花親方が知れば、憤慨するのは間違いなかろう。
その貴乃花親方は本誌の直撃取材に対して、次のようにも語った。
「部屋の親方にとって、弟子というのは自らの子どものようなもの。どんなことがあっても守らなくてはならない存在です。それを今の協会では、親方が弟子を守るどころか傷つけたりしてしまっている。そんなことはあってはならない。私なら自分の弟子は絶対に守り抜くし、だからこそ私は貴ノ岩のことを第一にこれからも行動していくつもりです」
初場所中に発覚した春日野部屋の不祥事を念頭に置いた発言である。
貴乃花親方はこう続けた。
「相撲は真剣勝負の世界であり、神事でもある。相手が少しでも土俵を割ったら、手を差し伸べる心持ちでいなければなりません。神事である相撲の力士が土俵の外で暴力を振るうなど、絶対に許されない」