相撲協会は「貴乃花親方の激白」を無視していいのか?

 

大相撲の貴乃花親方(45)のメディアを通じた反乱が始まった。

 

これまで沈黙を貫いてきた貴乃花親方は、連日、テレビ出演を行い、弟子の貴ノ岩(27)が元横綱日馬富士(33)から受けた暴行事件の当事者の一人として衝撃発言の数々を行っている。

7日に放送されたテレビ朝日系「独占緊急特報!! 貴乃花親方すべてを語る」は、日本相撲協会サイドの聴取などを拒否してきたとされた問題について、文書などで複数回報告してきたこと、協会サイドから警察への被害届の取り下げを要請されたことなど、もし、それが事実なら大問題となるショッキングな内容だった。

 

また8日放送のフジテレビ系「直撃LIVEグッディ!」でもインタビューに答え、元日馬富士の引退会見での発言や、暴行現場にいながら止めなかった横綱・白鵬の土俵上での姿勢などを批判した。
テレビ朝日系での告白は、関東地区の平均視聴率が13.6パーセントをマークするほど、多くの人の関心を集めたが、ネット上でも、議論が沸騰。理事降格のペナルティを課した協会、評議員会の判断の誤りを指摘する声や、協会の隠蔽体質を批判するコメントであふれた。

 

「これが本当なら八角理事長は辞任すべき」との意見も多かった。

この特定のメディアを通じて行われた貴乃花発言を協会は、どう受け止めるべきなのか?

隠蔽工作疑惑まで明らかにされて無視を決め込んでいいものなのか?

 

相撲ジャーナリストの荒井太郎氏は、

「理事候補選が終わりすべてがスッキリしたので口を開いたのかもしれません。貴乃花親方側からだけの情報発信で、それが真実かどうかはわかりませんが、もし本当であれば大問題となる話もありました。

被害届の取り下げという働きが協会からあったという部分や、貴ノ岩の怪我を《右側頭骨骨折》とする診断書が公開されたような部分は問題ですね。被害届の取り下げについては協会は認めないでしょうが、診断書については、後から重傷を否定するかのような医師のコメントは何だったのか、という疑念は残ります。その背景に何があったのか、と。

おそらく貴乃花親方が文書で協会に訴えてきた内容については、客観的事実に反する点が多いと危機管理委員会は判断して、ああいう最終報告書になったのだと考えられますが、協会が、きちっと総括すべき点は、まだ残っていますね」

 

という意見だ。

隠蔽工作疑惑を投げかけられた協会側は無視することは許されない問題だろう。

ただ“告発”の仕方が、すべてのメディアに対して行われた公式な記者会見でなく、特定のメディアだけに喋ったという手法を取っただけに、協会側が、どう取り扱うかは微妙だ。

 

前出の荒井氏も、

「本人は混乱を避けるためにこれまで沈黙を守ったと説明しています。話の中身も一本筋の通った説得力のあるものでした。でも、なぜ今?マスコミに?との疑問もあります。

マスコミに対して沈黙を守るのはいいとして、信念は曲げることなく、協会内で自身の正当性を訴えていく方法はあったようにも思えます。こういう形で意見を述べるのではなく、理事会等、もっと議論すべき場所で口を開くべきだったような気もします」

 

と指摘する。

一説によると今回の番組出演を協会側が許可していなかったともされる。

もしそういう“つっこみどころ”が、貴乃花親方側にもあるとすれば、逆にペナルティ対象にもなるし、なおさら協会側は、“公式発言ではない”ことを理由に看過、無視することも可能になる。

この告発手法が決して正しかったとは言えないことは事実だろう。

 

しかし、すでにSNS上のファンの反応も含めて協会には、強烈な逆風が吹く。

協会の自浄能力を問われる問題提起でもある。

例え公式な告発でないとしても、協会側は、もう一度、貴乃花親方から発言内容を確認し、隠蔽工作疑惑に関しての内部調査を進めるなり、なんらかのアクションは取るべきだろう。

 

それくらいの問題意識の高さを見せなければ協会は一連の騒動で失った信頼は取り戻せない。

3月下旬に理事長選挙が迫っていて、残り任期は少ないが、この隠蔽工作疑惑について、シロクロをつけなければ、八角理事長の責任を問う声は大きくなる。

 

新たに立候補するか、どうかの是非が議論される問題にまで発展するかもしれない。

しかし、荒井氏は

「もし事実であれば、その責任を問われる問題だと思います。その問題にどう対応するかも重要です。3月下旬に理事長選挙がありますので、その際に執行部も一新して出直そうと考えているのかもしれません。でも、八角親方の対抗馬となる人材もいません。無選挙になる可能性もあります」

と危惧する。
貴乃花親方は、わずか2票しか獲得できずに理事候補選挙で落選したが、もし当選していれば間違いなく理事長選挙に出馬していただろう。

そうなれば、協会の体質をどう変えていくか、も議論になっただろうが、今のところ、八角理事長の対抗馬に名乗りを挙げる人物は見当たらない。

筋論から言えば、貴乃花一門から出た阿武松親方が出馬すべきだろうが、その動きはない。

もし、次の理事長選が八角理事長への対抗馬のないまま、無投票で再任となれば、結局、貴乃花親方が発言しようが、理事候補選に出馬しようが、協会の体質は、何も変わらないということを世間に示すような事態にもなりかねない。

 

荒井氏は、

「貴乃花親方が勝てないことがわかってあえて出た理事候補選は、結果的に選挙となり世間の厳しい目にさらされることなく、逆に公平さをアピールする意味で協会を助けるような形になりました。この反響も、今回マスコミに口を開いた理由だったのかもしれません」

 

と推測するが、貴乃花親方の遅すぎた激白の背景には、迫る理事長戦に対するメッセージが込められていたのかもしれない。

 

 

 



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