張本智和「チョレイ!」はバッドマナーか?

 

「チョ~~~レイ!」「チョーレイ!」「チョロイ?」――館内に響き渡る14歳の雄叫び。

 

うるさい?

元気があっていい?

***

 

1月21日、卓球の全日本選手権決勝で、史上初となる10度目の優勝を賭けた五輪メダリストの水谷隼選手(28)を、一方的と言っていいほど完璧に下したのは、弱冠14歳の張本智和クン。

 

決勝で敗れた水谷選手はこう語っている。

「今日の張本がいつも通りの100%の力だとしたら、何回やっても勝てないと思う。張本が来る前にたくさん優勝しておいてよかった……」

 

張本選手の強さについてスポーツ紙記者が解説する。

 

「完全に世代交代となりました。張本はすでに『ITTFワールドツアーU21男子シングルス』で12歳の時に優勝、『世界ジュニア選手権シングルス』では13歳163日で優勝、水谷を破ってベスト8入りした『世界選手権シングルス』は13歳、『ITTFワールドツアー男子シングルス』の優勝は14歳61日と、いずれも最年少記録を打ち立てていますが、これに『全日本』が加わったわけです。

張本が得意とする球が横に逃げるチキータも冴えわたり、バックハンドの上手さに加えて、今大会ではフォアにも磨きをかけた。スタミナ強化をした結果、スピードにパワーも加わった。王者・水谷を2度も破ったのですから、国内ではもはや無敵ですよ」(スポーツ紙記者)

 

2020年の東京オリンピックでもまだ16歳である。

期待は高まるが、気になるのが人気のなさだ。

会場でも拍手が湧くのは水谷がポイントを取った時で、張本が得点した時には「チョーレイ!」がこだまするばかり――。

 

気が小さいから声を出す

決勝当日、朝っぱらから注文をつけていたのは野球評論家の張本勲氏(77)。

“御意見番”を務める「サンデーモーニング」(TBS系)で、「子供だけど、ワアワア言い過ぎ」と、張本がポイントを取るたびに上げる雄叫びやガッツポーズ、仰け反って歓喜する“ハリバウワー”に注文をつけたのだ。

 

おまけにこんなことも言っていた。

「ああいう子は気が小さいんですよ。感状を押さえきれないから、ワアーっと出ちゃう。本当に根性のある人はああいう態度は取らない、男は」

 

シブく決めて見せた張本氏だが、司会の関口宏氏(74)は「なんか問題発言しているような……」と、張本氏に対して緩やかな“喝”を投げかけた。

しかし、視聴者の多くが“あっぱれ!”と感じているようなのである。

 

ネットでも「張本智和」と検索ワードを入れただけで、「うるさい」「ウザい」「国籍」「中国」などと続くのである。

ちなみに張本選手は宮城県仙台市出身だが、両親ともに中国の著名な元卓球選手であり、14年春に一家で日本に帰化している。

14歳の子供相手に目くじら立てても仕方がないが、確かにうるさく感じるという人が多いようなのだ。

 

決勝の前日、あの水谷だって「うるさいから耳栓つけようかな」とまで言っていたほどなのだから。

 

中国人もあんな声は出さない

「まあ確かに、言葉が馴染み薄いモノですから目立つんでしょうけど。高校生ぐらいの大会だと、みんな『ッシャー!』とか言って、あんな感じですよ。

気が弱いからでなく、体力がまだないから自分を鼓舞するためなんです。そのために声を出せと、ご両親がアドバイスもしたそうですが、だからといって中国人の選手がみな、声を張り上げるわけでもありません。むしろ中国の選手って、そんなに声を出さないんですよ。

強いのに、あんな派手なことしたら恥ずかしいって思うのは、向こうでも一緒じゃないでしょうか。張本クンは確かに卓球選手だった中国人の両親の元に生まれて、日本に帰化していますが、彼自身は日本生まれの日本育ち。

国籍について、そんなに言われるのもどうかと思いますよ。あの雄叫びが不快かどうかといわれると、まあ人それぞれかと……」(スポーツ記者)

 

張本氏が“うるさい”と言った「サンデーモーニング」では、卓球でロンドン五輪銀メダルの平野早矢香(32)さんが意外な話を披露している。

 

「私も海外の試合でガッツポーズを審判に注意されたことがある……」

 

だが、その一方で翌22日の「とくダネ!」(フジテレビ系)での元日本代表の坂本竜介氏(33)によると、張本の「チョレイ!」は、

「相手に向かって挑発していないから問題ない」

 

一体どちらなのか?

 

日本卓球協会に指導要請

卓球のルールブックには、「バッドマナー」の記載がある。

 

坂本氏が言うように

「競技者またはアドバイザーが大声で叫ぶ、汚い言葉を使う、相手選手を威嚇する」

はもちろんだが、「観客に不快感を与える」もバッドマナーとある。

 

確かに張本は、相手に背を向けての「チョレイ!」や“ハリバウワー”であるから、相手を挑発しているわけではないだろう。

しかし、相手に背を向けるということは、裏を返せば観客やテレビの視聴者に向けて「チョレイ!」を発していることになる。

観客に不快感を与えるバッドマナーではないのだろうか。

 

そこで日本卓球協会の強化本部長の宮崎義仁氏(58)に聞いてみた。

 

――「チョレイ!」は観客に不快感を与えるバッドマナーではないのか?

宮崎氏:全日本での決勝でも審判に注意すらされないのは、バッドマナーとは言えないからだと思います。

 

――「チョレイ!」について、協会に問合せはあるのか?

宮崎氏:「チョレイ」に対する問合せは、多くが控えるように指導していただきたいという内容です。

 

――不快と思われる方が多いようだが?

宮崎氏:不快に思われる方もおられますが、元気があって良いと思われる方も多くいます。小学校の試合では、参加者の全員が張本のような声を出します。

しかし、大人になるにつれて大声を出さなくなるのが通例です。張本ももう少し大人になれば小さな声になるのではと思います。ただし、日本チャンピオンになった現在、チャンピオンの風格等も視野に入れ、指導してまいりたいと考えます。

 

 

全日本チャンピオンにも品格が求められるようで、協会も「チョレイ!」を良しとしているわけではないようだ。

 

静岡では禁句?

ちなみに「チョレイ!」に確たる意味はないようだが、「中国語っぽい響きがイヤ」という声があれば、「『ちょろい』みたいで馬鹿にしている感じがする」という声もある。なかでも――、

 

「静岡では『チョレー』は禁句と言われているそうですよ。何でも相手を馬鹿にする時の言葉だとか」(社会部記者)

 

「ちょろい」に通じるようなものだろうか。だとすれば、言われたほうは腹が立つし、試合どころじゃないかもしれない。

 

ところで敗れた水谷は静岡県磐田市出身――やっぱり耳栓つけていたほうがよかったかも。

 

週刊新潮WEB取材班

2018年1月24日 掲載

 

 

 



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