八角理事長と池坊議長に大逆風

 

元横綱日馬富士(33)の暴行事件で、貴乃花親方(45)の理事解任を正式決定した日本相撲協会が大逆風にさらされている。

2月の理事選で貴乃花親方が当選しても承認しない可能性に含みを持たせた評議員会議長の池坊保子議長(元文部科学副大臣)の言動にネットが炎上するなど世論は猛反発。

 

貴乃花親方の有力支援者も夕刊フジに独占激白し、「イジメたいだけの処分だ」と池坊議長や八角理事長(54)ら協会側への怒りをぶちまけた。

「貴乃花理事の多くの行為、言動は著しく礼を欠いていたのではないかと思う」

池坊議長が4日の記者会見で強調したのは、八角理事長が携帯電話に何度も連絡しても出ないといった“礼儀”の問題だった。

 

理事を解任され、巡業部長からも外れた貴乃花親方の新職務は指導普及部副部長。

加害者側の伊勢ケ浜親方(57)と同じ2階級降格となったことについて

「協会の3番目の巡業部長という重い地位に就いているのに報告義務を怠った。危機管理委員会による調査への協力を拒否したということ」

と説明したが、処分ありきの感は否めない。

 

評議員会は理事の選任や解任の権限を持つ。

貴乃花親方は2月に予定されている理事候補選挙への立候補を認められており、貴乃花一門や一門外の支持者の数から当選は堅いとみられるが、池坊議長は再選の場合についても

「評議員会で話し合い、真摯(しんし)に厳粛に粛々と決めさせていただく」

と述べ、必ずしもすんなり承認するわけではないことを示唆した。

 

こうした言動について、相撲協会の公式ツイッターには、

「八角理事長寄りで、感情で処分を決めるのは公平といえるのか」

「被害者側の貴乃花親方を一方的に批判することこそ礼を欠いている」

といった趣旨で池坊氏を批判するリプライ(返信)が相次いだ。

 

「もう税金を使うのやめて」

「今の体制では相撲を見る気にはなれない」

といった協会批判も殺到した。

 

角界関係者は

「あれだけ調査について協力を拒否されたにもかかわらずそれなりの処分を下さないとなれば、相撲協会としても世間体が悪すぎると考えたのだろう」

と解説するが、こうした理屈は世間では理解されていない。

 

ヤフーニュースの意識調査でも、貴乃花親方への処分について5日朝の時点で約30万票の回答があり、「処分は不要」が約44%、「重い」が約25%にのぼり、「妥当」の約17%、「軽い」の約12%を大きく上回った。

 

英BBCニュースは昨年12月、貴乃花親方が批判を浴びていたことに関して、相撲に関する著作もある英国人作家が

「他のほとんどのスポーツでは、彼は内部告発のヒーローとして称賛されるだろう」

とコメント。

その特殊性を強調していた。

 

ノンフィクション作家の長田渚左氏は

「問題の根本は暴力事件だったはずだが『なぜ起きたのか』という主題は最後まではっきりしなかった。協会が当事者双方からすぐに事情を聴けば3日で終わった話で、統率力のなさを露呈した。協会は一連の対応が相撲界にとって大きなマイナスになっていることに気付くべきだ」

と指摘した。

 

危機管理委員会の調査では、図らずも角界の根深い暴力体質が浮き彫りとなった。

委員会が昨年12月20日に公表した報告書では、10月下旬に鳥取市内のラウンジで日馬富士が貴ノ岩に暴行した際、断続的に素手で殴打したときは誰も止めに入らず、カラオケのリモコンへ手を伸ばした瞬間、白鵬がようやく「物は持たないようにしましょう」と声を上げたとしている。

図らずも素手による暴力なら容認したとも受け止められる内容だった。

 

12月21日に行われた全協会員対象の研修会でも、非公開の時間帯で八角理事長が

「何気ない気持ちでやった暴力が、組織を揺るがすようなはめになってしまう」

と話したことが分かっている。

暴力の動機を「何気ない気持ち」と表現したことに、暴力容認体質がにじみ出た発言だった。

 

また。12月の巡業を休むにあたり貴ノ岩の診断書が提出されなかったことを問題視する協会側に対して、貴乃花親方が

「報道陣に囲まれ病院に行けず診断書も出せなかった」

旨を文書で回答したことについて、評議員は事実かどうかを問いただしたといいます。

その際、八角理事長はそのような発言はないと否定したうえで、報道陣に囲まれて病院に行けないならば救急車で行けばよいと声を荒げたのだとか。

もしこれが事実であるならば、大変に問題のある、常識を欠いた発言と言えるでしょう。

 

救急車はタクシー代わりのクルマではなく、緊急性の高い重篤患者を速やかに移送するためのもの。

当然のことですが、車両の数にも限りがあります。診断書取得などのために救急車を呼べば、その間に発生した重篤患者を移送できなくなってしまいます。

 

八角理事長が「救急車を呼べ」と指摘するべきは、日馬富士が暴行を働いた当夜、頭部に傷を負った貴ノ岩を眺めていた力士・関係者に対してのはず。

評議員も、この発言が事実であるならば、すぐさまこうしたことを指摘するべきであり、それがなされなかったのであればやはり常識を欠いていたと言わざるを得ません。

貴乃花親方について「礼を失する」などと言う前に、八角理事長や評議員会に「常識を失する」と指摘することのほうが、角界にとっては急務かもしれません。

 

 



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